【<17>マンション管理士・管理業務主任者試験対策】建物賃借人の明渡猶予期間について

 

平成26年度のマンション管理士試験は11月30日(日)、管理業務主任者試験は12月7日(日)に行なわれます。

受験する人のお役に少しでも立てればと思い、私が勉強していてわかりにくかったところ、ひっかかりやすかったところなどをアップしていきたいと思います。

 

7209965342_74ec16941a_m photo by Stefano Montagner

 

第17回は建物賃借人の明渡猶予期間です。

 

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ポイントは……

 

1)抵当権設定登記がなされた後に対抗要件を備えた賃借権は、その期間の長短を問わず、抵当権者(買受人)に対抗できない。

2)抵当権者に対抗することのできない建物賃貸借の賃借人であって、競売手続開始前から使用・収益を行っている者は、建物の買受人が買い受けた時点から6ヶ月(明渡猶予間)を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡さなくてよい。

 

 

このポイントは、平成16年4月1日施行の民法改正によって「短期賃貸借制度」が廃止されたことを受けての設問であるということ。

 

改正前の「短期賃貸借制度」とは、宅地については5年、建物については3年以下の短期賃貸借であれば、抵当権設定登記後に対抗要件を備えたものでも抵当権者や競落人に対抗できる、というものでした。期間が短いのであれば、抵当権者が少し我慢すれば賃借権が切れて抵当権を行使できるという賃借権側の保護を考えたものだったのでしょうが、競売妨害に使われるようになって全面的に廃止されたようです。

 

「保護」という意味では、「競売手続開始前から使用・収益を行っている者」という条件付きで、「建物の買受人が買い受けた時点から6ヶ月(明渡猶予間)を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡さなくてよい」という猶予期間を与えられています。

 

明渡猶予間が認められるのは「建物賃貸借」の場合で、土地の賃貸借については明渡猶予期間は認められないというところも押さえておきたいポイントです。