【<5>マンション管理士・管理業務主任者試験対策】引渡し請求について

 

平成26年度のマンション管理士試験は11月30日(日)、管理業務主任者試験は12月7日(日)に行なわれます。

受験する人のお役に少しでも立てればと思い、私が勉強していてわかりにくかったところ、ひっかかりやすかったところなどをアップしていきたいと思います。

 

7209965342_74ec16941a_m photo by Stefano Montagner

 

第5回は引渡し請求です。

 

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1)占有者に対する引渡し請求は、必ず訴訟を提起して請求しなくてはならず、訴訟を提起する場合には、集会において、区分所有者および議決権の各4分の3以上の特別決議が必要である。また、共同の利益に反する行為をした占有者に対し、あらかじめ弁明する機会を与えなければならない。
2)占有者に対する引渡し請求の内容は、専有部分のしようを目的とする契約を解除し、その引渡しを求めることである。

 

 

迷惑行為や義務違反など、マンションの生活でほかの住人や区分所有者に悪い影響を与える行為をした場合、管理組合ではこれを止めるよう行動を起こすことができます。

 

具体的には「行為の停止等の請求」「使用禁止の請求」「競売請求」「引渡し請求」などです。

 

共同利益に反する行為をしている対象が区分所有者である場合と占有者(賃借人等)である場合では、できることが若干異なります。試験ではこの違いを引っ掛け問題で出してくることが多いようです。

 

区分所有者の共同利益に反する行為に対してできるのは「行為の停止等の請求」「使用禁止の請求」「競売請求」です。

 

占有者の共同利益に反する行為に対してできるのは「行為の停止等の請求」「引渡し請求」です。

 

「行為の停止等の請求」については、平易に言い直せば「やめなさいと法律的に言い渡すことができる」ということで、これを訴訟によって行なう場合には集会の普通決議が必要になります。

 

また、訴訟によって「使用禁止の請求」「競売請求」「引渡し請求」を求める際には、集会の特別決議が必要になります。これは所有権に影響を及ぼすことになるために、「行為の停止等の請求」よりも厳格な規定が適用されているということです。

 

とくに、共同の利益に反する行為を原因とする専有部分の引渡し請求訴訟では、占有者の占有権限を失わせるという強権が発動されます。

 

占有者の占有権限を失わせるということは、引渡しの前提となる賃貸借契約の解除も併せて請求することが必要になります。

 

また、解除される賃貸借契約の賃貸人・賃借人双方に判決の効力が及ばなければ意味がないので、賃貸人である区分所有者および賃借人である占有者双方を共同被告として訴訟を提起しなければならないとされています。