12|過去問解説2016年版(2015年問12)#マンション管理士試験

 
今年のマンション管理士試験は、「平成28年11月27日(日)午後1時〜3時」で実施されます。
 
当サイトでは、2015年(平成27年)の試験で出題された問題を解説して、この国家資格の受験を少しでもサポートできればと考えました。
 
また、試験を受けるつもりはないという人にも、マンション管理に役立つ基本的な知識を身につけるいい機会となりますので、ご一読いただければと思っています。
 
では、本日の解説はこちら。
 
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問12の問題の分野と難易度

 
2015年の問12は、贈与に関する民法や判例についての出題でした。
 
難易度は、得点源レベルです。
 

問12の問題文

 

〔問 12〕 Aは、Bとの間で、自己の所有する甲マンションの 301号室をAがBに贈与する旨の贈与契約を締結した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

 
正しい肢を選ぶ問題です。
 

問12の選択肢と解説

 

1 贈与契約が書面によってなされていない場合には、贈与契約に基づいてAからBへの 301号室の所有権移転登記がなされた後であっても、Aは、贈与契約を撤回して、その所有権移転登記の抹消をBに対して請求することができる。

 
書面によらない贈与については、それぞれの当事者が任意に撤回をすることが可能です。
しかし、それができるのも、贈与が履行される前までのこと。この肢では、すでに所有権移転登記がなされていまっているので、撤回はできず、所有権移転登記の抹消請求はできません。なので、×。
 
2 Aは、301号室をBに引き渡すまでの間、善良な管理者の注意をもって同室を保存する義務までは負わず、自己の財産に対するのと同一の注意をもって同室を保存すれば足りる。

 
贈与が成立した場合、それが特定物の引渡しであれば、債務者は債権者に対して引渡しを終えるまで目的物の保管を、「善良な管理者の注意をもって」しなければなりません。自己の財産に対するのと同一の注意ではなく、善管注意義務が発生します。なので、×。
 
3 贈与契約の際に、Aが老人ホームに入居するための費用をBが負担する旨もあわせて合意されていたにもかかわらず、Bがこの費用を支払わない場合には、Aは、相当の期間を定めてその支払義務の履行をBに催告し、その期間内に履行がなければ贈与契約を解除することができる。

 
贈与に際して、なにかの負担を一緒に課している場合、それが履行されないと贈与も履行されないとみなされます。これを、負担付き贈与の双務契約に関する契約の準用といいます。なので、○。
 
4 贈与契約を締結する前から 301号室には隠れた瑕疵があり、贈与契約を締結した後にこれが判明した場合には、Aは、当該瑕疵の存在を知っていたか知らなかったかにかかわらず、Bに対し、売主と同様の瑕疵担保責任を負う。

 
隠れた瑕疵が契約後に判明した場合、贈与者は原則として責任を負いません。しかし、その瑕疵について知りながら契約を結んだ場合は、責任があります。なので、×。
 

問12の正解

 
問12の正解は、3になります。