[過去問復習]マンション管理士試験(2015年)の問8は分有に関する区分所有法・民法・不動産登記法についての出題でした

今年のマンション管理士試験は、「平成28年11月27日(日)午後1時〜3時」で実施されます。

当サイトでは、2015年(平成27年)の試験で出題された問題を解説して、この国家資格の受験を少しでもサポートできればと考えました。

また、試験を受けるつもりはないという人にも、マンション管理に役立つ基本的な知識を身につけるいい機会となりますので、ご一読いただければと思っています。

では、本日の解説はこちら。

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この問題の分野と難易度

問8は、分有に関する区分所有法・民法です。

難易度は、かなり手こずりそうです。深追いせずに、概略だけでもチェックしておきましょう。

問題文

 

〔問 8〕 敷地が甲地、乙地及び丙地の3筆に分かれ、101号室、102号室及び103号室の3つの専有部分が存する区分所有建物がある。甲地及び甲地上の 101号室はAが、乙地及び乙地上の 102号室はBが、丙地及び丙地上の 103号室はCが、それぞれ所有している(いわゆる分有形式)。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法、民法及び不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。

 

選択肢と解説

1 Aが甲地及び 101号室をDに譲渡した場合、101号室の権利の移転の登記がなされても、甲地の権利の移転の登記がなされなければ、Dは、甲地の権利を、第三者に対抗することができない。

土地が3筆に分かれ、それぞれに所有権が異なり、その3筆の上にアパートが建てられて、部屋ごとに所有権が異なるという問題。この敷地は、1つの建物に対して3人の異なる土地の所有者がいる「分有」という状態になります。1つの土地を数人で所有する「共有」とは違いますね。
敷地が分有である場合、その上に建てられた建物の専有部分と敷地利用権は、分離して処分することができません。そうなると、その専有部分に対する土地が「敷地権」であるとは認められないため、専有部分の登記があっても自動的に土地が登記されるという不動産登記法の適用がありません。
ということは、土地は別に登記をしないと、専有部分の移転による登記がなされても、その土地の権利が継承されたことを第三者に対抗できないのです。なので、○。

 

2 Bが死亡して相続人がないときに、遺贈を受けた者が存在せず、また特別の縁故があった者に対する相続財産の全部又は一部を分与する家庭裁判所の審判もない場合には、乙地及び102号室は国に帰属する。

この文章のとおりです。なので、○。

 

3 管理組合が丙地の管理を行う旨の規約の定めがなくても、管理組合は、丙地の管理を行うことができる。

肢1のように、土地が分有の場合は、不動産登記法同様に区分所有法の適用が難しいと判断されます。
そうであれば、自動的に管理組合の権限を土地に適用させるわけにはいかないため、規約による「事前認知」をすることで、対抗要件とするという判断になるわけです。なので、×。

 

4 区分所有建物の共用部分のA、B、Cの持分について、それぞれ甲地、乙地、丙地の面積の割合によることとする規約を定めることができる。

区分所有法では、共用部分の各持分は、専有部分の床面積の割合によるとしていますが、これは規約で別段の定めが出来るとも定めています。
分有の土地の管理については肢3で規約の定めを必要としていたので、ここでもまた規約によることで、法的な整合性を保とうとしているわけです。なので、○。

正解

問8の正解は、3となります。