01|管理業務主任者試験過去問解説2016年版

 

今年の管理業務主任者試験は、「平成28年12月4日(日)午後1時〜3時」で実施されます。

当サイトでは、2015年(平成27年)の試験で出題された問題を解説して、この国家資格の受験を少しでもサポートできればと考えました。

また、試験を受けるつもりはないという人にも、マンション管理に役立つ基本的な知識を身につけるいい機会となりますので、ご一読いただければと思います。

では、本日の解説はこちら。

 

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この問題の分野と難易度

問1は、民法と区分所有法の代理及び管理者に関する出題です。難易度は、得点源レベルです。

 

問題文

〔問 1〕 マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12年法律第149号。以下、本試験問題において「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号に規定するものをいう。以下、本試験問題において同じ。)の管理組合A(以下、本問において「A」という。)の管理者B(以下、本問において「B」という。)が、その職務に関し、C会社(以下、本問において「C」という。)との間で取引行為をした場合に関する次の記述のうち、民法(明治29年法律第89号)、建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。以下、本試験問題において「区分所有法」という。)の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

 

選択肢と解説

1 Bが、Aのためにすることを示さないでした意思表示は、Cが、BがAのためにすることを知っていたときでも、Bがした意思表示の効果はAに帰属することはない。

Aは本人です。本人のためであることを示していなければ、その意思表示は代理人であるBが自分のためにしたものだと判断するのが法律です。しかし、意思表示の相手であるCが「BはAのために意思表示をした」ということを知っているときは、本人であるAが意思表示したこととみなされます。なので、×。

2 Bが、自己の利益を図るために職務の範囲内の行為をした場合には、Cがそのことを知ることができたときでも、Bがした行為の効果はAに帰属する。

Bは管理者すなわち管理組合理事長。理事長が職権で勝手に自分の利益になる取引を行なっても、その責任は管理組合が負うのかどうかという問題ですが、取引先であるCが「Aは理事長の職権でこの取引を使用としている」とわかっていた場合には、管理組合ではなく、職権濫用として理事長の責任を追及できます。なので、×。

3 Bは、Bの職務に関しその代理権に加えられた制限について、その制限を知らなかったCに対抗することができない。

第三者は、原則として代理権に対する制限を知る立場にありません。であるならば、これを保護しようというのが法の立場となります。なので、○。

4 Bが、職務の範囲外の行為をした場合において、Cが、Bの職務の範囲外であることを知ることができたときでも、CはBがした行為の効果をAに主張することができる。

代理人は、代理するように取り決めた範囲だけを代理することができます。それ以外については、無権代理という扱いになります。この無権代理では、本人は知らないのでその効果は本人に帰属しないのが原則ですが、その本人が「それもいいよ」と追認するか、表見代理が成立すれば、このかぎりではなくなります。

表見代理とは、その代理人に本人を代理するとする信用するに足る正当な理由があり、代理人に代理権がなかったことについて善意無過失であるときに、成立します。この問いでは、Cが代理について範囲外であることを知ることができたので、善意無過失とは言えず、本人AにBが表見代理だと主張して取引を認めさせることはできません。なので、×。

 

正解

問1の正解は、3となります。