04|管理業務主任者試験過去問解説2016年版

 
今年の管理業務主任者試験は、「平成28年12月4日(日)午後1時〜3時」で実施されます。
 
当サイトでは、2015年(平成27年)の試験で出題された問題を解説して、この国家資格の受験を少しでもサポートできればと考えました。
 
また、試験を受けるつもりはないという人にも、マンション管理に役立つ基本的な知識を身につけるいい機会となりますので、ご一読いただければと思います。
 
では、本日の解説はこちら。
 
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この問題の分野と難易度

 
問4は、民法と判例の弁済や供託に関する出題です。
 
難易度は、ちょっと難しそうです。
 

問題文

 

〔問 4〕 マンションの区分所有者A(以下、本問において「A」という。)が、その専有部分をBに賃貸している場合に、Bの賃料の支払いに関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 

選択肢と解説

 

1 第三者であるCがBの賃料を支払うことについて、Bが反対の意思を表示したときは、たとえCがBとの間に利害関係を有していても、Cは、Bに代わって賃料を支払うことはできない。

 
マンションの賃料という債務に関して、この弁済すなわち支払いは、第三者が代わって行うことが出来ます。ただし、利害関係のない第三者は、債務者が「うん」と言わなければ出来ないことになっています。この設問では、第三者が利害関係のある人物であるとの前提なので、債務者に代わって賃料を支払うことが出来ます。なので、×。
 

2 Aの債権者であるDが、AのBに対する賃料債権を差し押さえたにもかかわらず、BがAに賃料を支払った場合、Dは、それにより受けた損害の限度において、さらに弁済をすべき旨をBに請求することができる。

 
賃料の債権者と債務者のほかに、差し押さえの債権者が登場しました。この債権者は、「Aに支払う賃料は債権者である私Dのものとなったので、私に払いなさい」という状態なので、BがAに払うこととは関係なく、Dの債務と損害の限度において支払う義務が生じます。ということは、Dは弁済を受けていないので、Bに請求できます。なので、○。
 
3 Bの賃料の支払いをAがあらかじめ拒絶した場合、BはAに、賃料支払いの準備ができている旨を通知し、その受領を催告すれば、当該賃貸借の債務不履行の責任を免れることができる。

 
債務は、弁済してしまえば誰に文句を言われる筋合いはなくなります。しかし、「あらかじめ」つまり弁済前に債権者が受け取りを拒んでいるときは事情が違います。債権者が弁済前に受け取りを拒んでいたり、弁済に対してなにがしかの債権者の行為がなければ受領できない場合には、相手が拒んでいるので支払ったことにはならないわけです。でも、そんなときのために、「支払いの準備が出来ましたよ」あるいは「払いますので受け取ってください」と通告した証拠があれば、これをもって弁済と認められます。なので、○。
 
4 Bの賃料の支払いをAが受け取らない場合、Bは、当該賃料を供託すれば、当該賃料債務を免れることができる。

 
弁済しようとしているのに拒まれるケースをもうひとつ。催告だけでは心配ならば、弁済の目的となるものを供託するという方法があります。こうすれば、明らかに弁済していることを示せるので、弁済しないことによる損害賠償などのトラブルに巻き込まれずに済みます。なので、○。
 

正解

 
問4の正解は、1です。