03|管理業務主任者試験過去問解説2016年版

今年の管理業務主任者試験は、「平成28年12月4日(日)午後1時〜3時」で実施されます。

当サイトでは、2015年(平成27年)の試験で出題された問題を解説して、この国家資格の受験を少しでもサポートできればと考えました。

また、試験を受けるつもりはないという人にも、マンション管理に役立つ基本的な知識を身につけるいい機会となりますので、ご一読いただければと思います。

では、本日の解説はこちら。

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この問題の分野と難易度

問3は、民法と判例の債権者代位権に関する出題です。

難易度は、かなり手強そうです。

問題文

 

〔問 3〕 マンションの管理組合法人A(以下、本問において「A」という。)が、区分所有者B(以下、本問において「B」という。)に対する管理費債権(以下、本問において「本件被保全債権」という。)を保全するため、Bの債務者C(以下、本問において「C」という。)に対する金銭債権(以下、本問において「本件代位債権」という。)を代位行使する場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 

選択肢と解説

 

1 AがCに対して、本件代位債権を代位行使する場合、本件被保全債権の範囲で行使することができる。

代位して債権を行使するということは、債権者が自分の債権を保全するために行なうもので、これを代位権と言います。この権利については、オールマイティではなく、被保全債権の保全に必要な範囲内という制約があります。なので、○。

2 本件代位債権が国民年金受給権である場合、Aはそれを代位行使することはできない。

国民年金受給権は、法律によって譲渡や担保、差し押さえができないとされています。これは債務者の一身専属権といいます。譲渡や担保、差し押さえができませんので、当然のように代位して債権回収の対象にはできません。なので、○。

3 Aが、本件代位債権の消滅時効を中断させるには、本件被保全債権の弁済期が到来しない間は、裁判上の代位によらなければならない。

代位債権の消滅時効に関する問です。原則として、債権者はその債権者代位権を行使しようとする場合、債権の期限が到来していなければできません。期限前に行使する場合は、裁判を起こして代位を認められる手続きが必要です。しかし、この手続きには、保存行為に関しては裁判によらなくてもいいという例外規定があります。そして、代位債権の消滅時効の中断については、保存行為にあたるため、弁済期の期限前でも裁判によらなくてもいいことになっています。なので、×。

4 AがCに対して、本件代位債権を代位行使する場合、Bへ支払うように請求することもできるし、直接Aへ支払うように請求することもできる。

代位債権の行使では、その目的達成のため相手に対して債務者に引渡しの請求ができるほか、債権者に直接弁済のための引渡しを請求もできます。なので、○。

正解

問3の正解は、3となります。