【<30>マンション管理士・管理業務主任者試験対策】標準管理委託契約書における理事長の勧告および指示等について

 

平成26年度のマンション管理士試験は11月30日(日)、管理業務主任者試験は12月7日(日)に行なわれます。

受験する人のお役に少しでも立てればと思い、私が勉強していてわかりにくかったところ、ひっかかりやすかったところなどをアップしていきたいと思います。

 

7209965342_74ec16941a_m photo by Stefano Montagner

 

第30回は標準管理委託契約書における理事長の勧告および指示等です。

 

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ポイントは……

 

1)区分所有者等が、法令、規約または使用細則等に違反したとき、対象物件内における共同生活の秩序を乱す行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経てその区分所有者等に対し、その是正等のため必要な勧告または指示もしくは警告を行うことができる。

2)区分所有者または占有者が、建物の保存に有害な行為その他建物の管理または使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をした場合、またはその行為をするおそれがある場合には、区分所有法の規定に基づき、必要な措置をとることができる。

 

標準管理規約では、規約を守らない区分所有者等すなわちオーナーや賃借人、同居者などに対して、違反行為等を止めるよう勧告・指示・警告を行うことができるように定めています。

 

これは訴訟の前段階として、管理組合が是正に向けた努力をしていることを法的な手段のひとつとして認めるものです。

 

違反行為等をしている者は、専有部分は個人財産であることなどを理由に管理組合からの「規約を守りなさい」という注意を無視あるいは反論することが多いようです。これに対して、管理組合がマンションの価値を守るためにこうした規約違反に対処できるようにしたものが、この理事長権限であると考えられます。

 

「共同の利益に反する行為」の範囲は判例等で確認できますが、騒音から管理費等の滞納まで実際に起こりうるものです。

 

こうした違反行為が勧告・指示・警告によっても改善しない場合は、その「共同利益に反する行為」をしている者に対して「行為の停止」「専有部分の使用禁止」「区分所有権および敷地利用権の競売」「賃貸借契約等の解除および専有部分の引渡し」といった請求をするための訴訟に移ることになります。

 

このように「共同利益に反する行為」は行為者の所有権にかかわるほどの強権にも影響するため、訴訟に移行する場合には「理事長が理事会の決議を経て行う」のでは足りず、「総会の決議」を経なければなりません。

 

勧告・指示・警告では「理事長が理事会の決議を経て行うことができる」、「行為の停止」「専有部分の使用禁止」「区分所有権および敷地利用権の競売」「賃貸借契約等の解除および専有部分の引渡し」といった請求を訴訟によって行う場合は「総会の決議を経て行う」と、違いを確認しておく必要があります。