【<8>マンション管理士・管理業務主任者試験対策】団地の一括建替え決議について

 

平成26年度のマンション管理士試験は11月30日(日)、管理業務主任者試験は12月7日(日)に行なわれます。

受験する人のお役に少しでも立てればと思い、私が勉強していてわかりにくかったところ、ひっかかりやすかったところなどをアップしていきたいと思います。

 

7209965342_74ec16941a_m photo by Stefano Montagner

 

第8回は団地の団地の一括建替え決議です。

 

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ポイントは……

 

1)一括建替え決議をするためには、
・団地内建物の敷地が団地内建物の区分所有者の共有に属すること
・団地内建物のぜんぶが専有部分のある建物であること
・団地内建物について団地管理規約が定められていること
という3つの要件が必要である。
2)一括建替え決議により建て替えを行う場合には、団地内建物の敷地の共有者である団地内建物の区分所有者の団体の集会において、当該団地内建物の区分所有者および議決権の各5分の4以上の多数による決議と、同じ集会において、各団地内建物ごとに、それぞれの区分所有者の3分の2以上かつ議決権の3分の2以上の賛成が必要である。

 

 

<7>でも述べたように、日本では団地という住宅供給施策を推進していた時期があったため、団地特有の問題解決方法を法律で定めています。

 

しかし、多数の共有者によって権利関係が入り組んでいるので、権利を移動(変更や譲渡など)しようとする際にはかなり複雑な手続きが必要になったりします。民法では原則的に全員の賛成による一致がなければ共有財産は移動できないのですが、そうすると団地の建替えなどに大きな支障が生じるため、補足する意味で区分所有法で要件を和らげているという状態です。

 

従って出題のポイントはどれぐらい要件が和らいでいるのかという数字をしっかりと頭に入れておくことになるでしょう。

 

上記の1)の部分は、この区分所有法を適用するための「団地」の定義となります。これに則していないものは「区分所有法で要件を和らげてオーケーにしてあげます」ということができませんよ、というわけです。

 

実際にはすべての団地でこの要件が整っているとはかぎらないので(むしろ団地の成立時の事情でこの要件を満たしていないことのほうが多いようです)、建替えの話し合いの前に登記と規約の整備から始める必要があるかもしれません。

 

団地内一括建替え決議の成立のために必要なのは、まず「団地管理組合の集会」で団地内建物の区分所有者および議決権の「各5分の4以上」の多数による決議、「各団地内建物ごとにの集会」でそれぞれの区分所有者および議決権の「各3分の2以上」の多数による決議が必要になります。「団地管理組合」と「建物ごと(棟ごと)の管理組合」のそれぞれの賛成多数という手続きが必要になるわけです。

 

ただ、「団地管理組合」と「建物ごと(棟ごと)の管理組合」の集会は独立して行う必要はなく、これらは「同じ集会において決議」されるため、実際の決議は1回で済ませることができます。

 

とはいえ、「各5分の4以上」と「各3分の2以上」の賛成を1回でバチッと決めるのは、実際にはかなり周到に準備をして説明会などでコンセンサスを得てからでなければ難しいのは言うまでもありませんが。