問16|マンション管理士試験過去問解説2016年版
今年のマンション管理士試験は、「平成28年11月27日(日)午後1時〜3時」で実施されます。
当サイトでは、2015年(平成27年)の試験で出題された問題を解説して、この国家資格の受験を少しでもサポートできればと考えました。
また、試験を受けるつもりはないという人にも、マンション管理に役立つ基本的な知識を身につけるいい機会となりますので、ご一読いただければと思っています。
では、本日の解説はこちら。
問16の問題の分野と難易度
問16は、相続についての区分所有法と民法に関する出題です。
難易度は、かなり手こずりそうです。
問16の問題文
〔問 16〕 Aがその所有する甲マンションの 301号室をBに賃貸していたところ、Aは死亡し、Aの配偶者C並びに子D及びEは、いずれも単純承認した。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
問16の選択肢と解説
1 遺産分割によってCが301号室を相続し、Aが死亡するまでに滞納した管理費の負担に関する合意がないときは、甲マンション管理組合の管理者Fは、遺産分割後において、Aが死亡するまでに滞納した管理費の1/4をDに対して請求できる。
相続の問題は、まず法定相続について知っておく必要があります。法定相続では、配偶者が1/2を取得、この問題ではDとEにそれぞれ1/4ずつが分け与えられます。
これに従って、Dは資産の負債である滞納管理費の1/4を負わなければならないことになります。なので、肢1は○。
2 遺産分割によってDが301号室を相続し、Aが死亡するまでにBが滞納した賃料債権の帰属に関する合意がないときは、Dは、遺産分割後において、Aが死亡するまでにBが滞納した賃料債権の1/4をBに対して請求できる。
金銭債権は、遺産分割の手続きの必要なく、分割できます。合意があればこれ以外の分割がなされますが、合意がなければ1/4の債権は債務者に対して請求できます。なので、肢2は○。
3 遺産分割によってD及びEが301号室を持分各1/2として相続し、Aの死亡後遺産分割までに滞納した管理費の負担に関する合意がないときは、甲マンション管理組合の管理者Fは、遺産分割後において、Aの死亡後遺産分割までに滞納した管理費の全額をDに対して請求できる。
遺産の分割のスタートは、相続開始の時点です。ということは、死亡後遺産分割までに滞納した債務に関しては、分割ではなく共有の不可分債務という扱いになります。この問ではDとEが、それぞれ滞納管理費の全額を支払う義務を負っていることになるわけです。なので、肢3は○。
4 遺産分割によってEが301号室を相続し、Aの死亡後遺産分割までにBが滞納していた賃料債権の帰属に関する合意がないときは、Eは、遺産分割後において、Aの死亡後遺産分割までにBが滞納した賃料債権の全額をBに対して請求できる。
遺産分割後の問なので、全額ではなくそれぞれの相続分に応じての請求です。なので、肢4は×。
問16の正解
問16の正解は、肢4となります。