14|マンション管理士試験過去問解説2016年版
今年のマンション管理士試験は、「平成28年11月27日(日)午後1時〜3時」で実施されます。
当サイトでは、2015年(平成27年)の試験で出題された問題を解説して、この国家資格の受験を少しでもサポートできればと考えました。
また、試験を受けるつもりはないという人にも、マンション管理に役立つ基本的な知識を身につけるいい機会となりますので、ご一読いただければと思っています。
では、本日の解説はこちら。
問14の問題の分野と難易度
問14は、共有についての民法と判例に関する出題です。
難易度は、得点源レベルです。
問14の問題文
〔問 14〕 夫A及び妻Bが、甲マンションの501号室の区分所有権を各1/2の持分割合で共有している場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。ただし、管理費の負担に関する合意を除き、共有者間において別段の特約はないものとする。
問14の選択肢と解説
1 AB間において 501号室の管理費の負担者をAと合意した場合、その合意が書面で行われ、その旨が甲マンションの管理者に通知されたときは、管理者はBに対して管理費を請求することができない。
ABが専有部分を共有している場合、それぞれに義務を履行しなければなりません。ただし、債権者の合意があれば、共有者のどちらかの義務を免責することはできます。この場合、債務者側の共有者が書面で合意していたとしても、それだけでは免責にはできません。債務者である管理組合の合意が必要です。なので、1は×。
2 501号室の上階である 601号室の所有者Cが、不注意により浴室から溢水(いっすい)させ、501号室に損害を与えた場合、A及びBがCに損害賠償を求めるときは、それぞれの共有持分の割合に応じて請求しなければならず、自己の持分割合を超えて請求することはできない。
共有物に損害があった場合、共有者はそれぞれの共有割合に応じて損害の賠償請求をすることができます。これは、請求権が共有持分権によって制限されるからです。つまり、自己の持分割合を超えて請求することはできません。なので、2は○。
3 Aが、501号室の共有持分権をAB間の成人の子であるDに譲渡する場合は、Bの同意を得なければならない。
共有持分の譲渡などの処分は、それぞれの共有者が自由に行なうことができます。このAB間でも、AのDに対する譲渡はAの自由意志で行なうことができ、Bの同意は必要ではありません。なので、3は×。
4 Aが、自らの趣味で行っている日曜大工の作業中に、誤ってベランダから工具を落下させ、通行人Eが怪我をした場合、Bは自らに過失がなくても、区分所有権の共有者として、Aと連帯してEに対して損害賠償責任を負わなければならない。
Aの過失による事故は、Aが一般不法行為責任を負います。この場合、Bの工作物所有者としての連帯責任については、Bが無過失でも追わなければならない工作物責任ではないため、責任は発生しないものとされます。なので、4は×。
問14の正解
問14の正解は、肢3となります。