【問15】マンション管理士試験過去問解説2016年版

 
今年のマンション管理士試験は、「平成28年11月27日(日)午後1時〜3時」で実施されます。
 
当サイトでは、2015年(平成27年)の試験で出題された問題を解説して、この国家資格の受験を少しでもサポートできればと考えました。
 
また、試験を受けるつもりはないという人にも、マンション管理に役立つ基本的な知識を身につけるいい機会となりますので、ご一読いただければと思っています。
 
では、本日の解説はこちら。
 

 

問15の問題の分野と難易度

 
問15は、使用貸借についての民法に関する出題です。
 
難易度は、かなり手こずりそうです。
 

問15の問題文

 

〔問 15〕 Aがその所有する甲マンションの 105号室に関し、Bとの間で使用貸借契約を締結し、これを引き渡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

 

問15の選択肢と解説

 

1 105号室に瑕疵があった場合、貸主Aは、その瑕疵を知り、かつ、これを借主Bに告げなかったときには担保責任を負う。

 
民法の規定によれば、使用貸借契約の貸し主は、その契約の目的物や権利について、瑕疵があっても責任を負わないと定めています。ただし、瑕疵(あるいは目的物や権利が存在しないこと)を知っていたのに、借り主に告げなかった場合には、負わなければならなくなります。なので、1は○。
 
2 Bが105号室に有益費を支出し、使用貸借契約終了時に同室の価格の増加が現存する場合には、Bは、支出した金額又はこれを支出したことによる同室の増価額のいずれかを選択してAに請求することができる。

 
使用貸借契約での有益費の扱いは、その支出で価格が増加して、なおかつ現存する場合であれば、支出した金額か、または増加した価格分を貸し主から償還してもらえるように請求できると定められています。ただ、支出金額か増価分かを選ぶのは借り主ではなく、貸し主です。なので、2は×。
 
3 AとBが貸借の期間を定めた場合でも、その期間内にAが死亡したときは、Aの死亡時にAとBとの使用貸借契約は効力を失う。

 
使用貸借契約は、借り主が死亡すると、その効力を失います。しかし、貸し主の死亡では失われません。なので、3は×。
 
4 105号室がBの居住を目的として使用貸借されている間は、Aが105号室をCに売却しても、Bは、Cに対し、引き続き借主であることを主張することができる。

 
使用貸借契約の場合、その権能は契約した貸し主と借り主のあいだだけに成立すると定められています。貸し主の売却によって所有権が移動すると、使用貸借契約もなくなります。使用貸借が存続している状態でも、借り主は第三者である新しい所有者に借り主であることを主張できなくなってしまうのです。なので、4は×。
 

問15の正解

 
問15の正解は、肢1となります。