DSをモデルにしたバービー人形は多様性社会のハードルを下げてくれる!?[ニュース拾い読み]

米玩具大手のマテル社が、DS(ダウン症)の特徴的な外形を取り入れたバービー人形を発売したというニュース。

上級副社長兼バービー部門のグローバル責任者によれば、「すべての子どもが自分らしさをバービー人形に見いだせるようにすることが私たちの目標だ」との考えから、DSの子どもたちに自分を投影した人形遊びができるようにしたもののようです。

また、「自分とは違う外見の人形とも遊んでほしい」と、DSの社会における在り方に一石を投じる企画であることも明かしています。

ハフィンポストの電子版ではこのリリースを補足して、前出の副社長のコメントも長めに紹介しています。

自らDSであることを公表しているモデルのエリー・ゴールドスタインさんの写真が印象的です。

ハフィントンポスト紙によれば、製造元のマテル社は今回、この企画のために全米ダウン症協会と協力。ドレスの柄は蝶と黄色と青色をあしらい、ネックレスの3つの山形が3本の第21染色体を表わすなど、それぞれDSのシンボルである事象を織り込んでいるのだとか。

1959年から売り出され、日本でも爆発的なブームとなったバービー人形ですが、そもそもが欧米美女(ハリウッド的と言うのかな)への憧れを煽るコンセプトだったため、21世紀を迎えて多様性が叫ばれるようになると、差別を増長するシンボルとして槍玉にあげられるようになってしまいます。

マテル社はこうした時代の変化に敏感に対応。

近年は「車椅子や補聴器、義肢を使ったバービー」を送り出して、社がインクルージョンを重視した姿勢であることをアピールするようになっていました。

このDSバービーもその一貫、いや、意欲的な展開であると受け取ることができるわけです。

人形は古来、身代わり信仰における形代(かたしろ)、つまり自分の姿を託すものでもありました。

今回のマテル社のアプローチは、半世紀を経てバービーが”変身願望”のアイコンから”自己認知”のツールとしてパラダイム・シフトを果たしたエポックにもなっていると言えるのではないでしょうか。