〔過去問〕管理業務主任者試験(2015年)の問5は贈与に関する民法と判例に関する出題でした

今年の管理業務主任者試験は、「平成28年12月4日(日)午後1時から3時」で実施されます。

当サイトでは、2015年(平成27年)の試験で出題された問題を解説して、この国家資格の受験を少しでもサポートできればと考えました。

また、試験を受けるつもりはないという人にも、マンション管理に役立つ基本的な知識を身につけるいい機会となりますので、ご一読いただければと思います。

では、本日の解説はこちら。

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この問題の分野と難易度

問5は、贈与に関する民法および判例に関する問題です。

難易度は、ちょっと難しそうです。

問題文

 

〔問 5〕 マンションの専有部分甲(以下、本問において「甲」という。)を所有するAが、Aの友人であるBに甲を贈与する場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

 

選択肢と解説

 

1 贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示することによって成立するので、Bは、Aに対し承諾の意思を表示する必要がない。

民法によれば、贈与という行為の効力は、一方が無償で相手方に与えるという「意思表示をして」、相手方が「受諾する」ことによって生ずるとしています。なので、×。

2 AがBに、書面によらないで甲を贈与した場合、Bへの所有権移転登記が完了すれば、その贈与は、撤回することができない。

書面によらない贈与は、それぞれの当事者によって撤回することができます。しかし、履行された部分においては、撤回はできません。所有権移転登記が完了しているということは、履行されたと言えるので、撤回できません。なので、○。

3 Aは、甲に瑕疵があることを知っていた場合、その瑕疵(かし)についてBに告げなかったとしても、Bに対して担保責任を負うことはない。

瑕疵があるものや存在しないものに関する贈与をしても、贈与者は責任を負いません。しかし、それを知りながら贈与を行なった場合には、責任を負わなければなりません。なので、×。

4 AとBが、Aが死亡したときに甲を贈与する旨の契約を締結する場合、遺贈の規定が準用されるので、公正証書による贈与契約書を作成しなければならない。

遺贈というのは、遺言によって行なわれる贈与のこと。原則として贈与者が単独で行なうものです。それに対して死因贈与は、「死んだらあげるね」という双方の契約によるもの。これに対して、遺贈の規定が準用されると定められています。しかし、どのように贈与するかについてまでは遺贈を準用するものではないという判例があります。なので、×。

正解

問5の正解は、2となります。