マンション管理組合の会計が赤字垂れ流し状態の“隠れ破産”に注意!

 

 IMG_0076 by norio.takahashi

 

マンション管理組合の会計は、原則として単年で決算処理されます。

 

この結果は総会に提出され、内容に疑義がなければ承認を経て「問題はない」とされます。

 

単年度処理なので、特に工事などがないときは、支出らしい支出もないでしょう。そうなると、それなりに管理組合の銀行口座には残金が増え、その管理組合はお金の心配をしなくてもいいような気になってしまうものです。

 

これに対して国交省では、以前から管理組合の会計に関して長期的な視点で積立を考えておくようにと、ガイドラインなどを出しています。

 

もともとは、新築マンションが初期の支出を減らして購入意欲を高めようと、管理費修繕積立金等を根拠なく低く抑えてしまっていたことで、1回目の大規模修繕工事あたりからすでに資金がショートしてしまうマンションが出てきていたりしたからです。

 

1回目と言えば12〜13年目あたり。早いうちに対処できれば、傷口が広がらずに済むともいえますが、ローンが残っているオーナーが多かったりすると、先延ばしになることも多いかもしれません。

 

これが3回目の大規模修繕工事あたりだったりすると、事態は深刻です。

 

前回の東京オリンピックのあとあたりからマンション建築は加速したわけですから、そろそろ50年超えの後期高経年物件がゾロゾロと出てくることになるので、資金不足の問題がクローズアップされるのは当然といえば当然。

 

適切なメンテナンスを施していれば、マンションの寿命も延びるというのはもはや常識。というか、お金をかけて手入れしていた方がお金がかからないと言い換えたほうがいいかも。

 

いろいろと制約の多い建て替えより、少しでも長く快適なままで住めたほうが、面倒が少ないのは確かでしょうからね。

 

 

この記事では名古屋の1970年築の300戸の例を紹介。

 

大規模修繕工事の資金不足が1億円で、その後の不足を合わせて3億円というのは「軽症」ではないかと思うのですが、それはともかく、管理費修繕積立金等を値上げして対処できたのであれば、モデルケースにはなるでしょう。

 

管理費修繕積立金等の値上げでは、長期修繕計画に基づくシミュレーション資料を配付するなど、根拠のある説得が必要です。また、並行して徹底的に滞納処理をすること。

 

管理組合がお金に関してシビアであることをきちんと示すことが、理解と共感を得る王道です。私自身、ここが曖昧な計画では協力したくないだろうなあと思うからです。