マンション管理組合の役員不足への対応はますます急務になっている

東京新聞の記事に気になる見出し。「求む!役員さん 建物も住民も『高齢化』」というもの。

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東京新聞:マンション管理 求む!役員さん 建物も住民も「高齢化」:暮らし(TOKYO Web)

記事からも見えてくる管理組合理事会役員の成り手不足の問題点は「高齢化」と「知識不足」でしょう。

実は、管理組合役員と最も対立してしまうのが会社員という立場で、平日の朝から夜まで外出していて、休日さえも予定が立たない会社員が管理組合役員を全うするのはかなり難しいと思われます。

そうなると、リタイアした人が時間的にも余裕があり適任ということになるわけですが、そこに「高齢化」という問題が首をもたげるわけです。65歳で会社を退職し、心身ともに元気で過ごせるのが10年であれば、それほど問題にはならないのではという意見もあるかもしれませんが、実際には元気なときにもっとやりたい別のことがあるでしょうし、家に篭ることが多くなる後期高齢時期にようやく「まあ、役員ぐらい引き受けてもいいか」と諦めがつくようになるのかもしれません。

ただ、実際には引き受けてみても畑違いの神経を使う作業と重い責任を負わされることに辟易し、もう余生なのだからこういう面倒なことには関わらないことにしようという気になることもいたしかたないでしょう。

一方、奇特にも役員を引き受けてくれるという人は、実は皆無ではありません。自分の住むところ、財産を管理するという意識に目覚めている人もいるのですが、いかんせんなにをどうすればいいのかということがわからないことが多いのです。私自身、「なにかしなければダメになる」という不安にかられて管理組合や管理会社に無意味なアピールをしたこともありました。

「なにをしたらいいのか」がわからないから不安になります。そこで一念発起して、マンション管理士の試験を受けることになったわけですが。

良かれと思っていても、それがトンチンカンなことでは、周囲に迷惑がかかるだけだということは、資格取得後に痛いほど理解できるようになりました。

つまり、いかに知識が重要かということです。知識なしに役員になっても、マンションの管理は向上しません。いや、現状維持どころか悪くなるばかりでしょう。

「高齢」「素人」「余裕なし」の3要素をどう解消していくか。それぞれの要素を補うことが、解決への微かな望みであるような気がします。

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リンク切れ用の全文引用

マンション管理 求む!役員さん 建物も住民も「高齢化」

 マンションの住民で組織し、建物の保守や修繕などを手掛ける「管理組合」。住民の高齢化や負担の大きさから、各地で役員のなり手不足が慢性化している。特に、築年数の長い建物は、老朽化から大規模な修繕が急務。問題はさらに深刻だ。 (発知恵理子、田辺利奈)
 横浜市緑区の「霧が丘グリーンタウン第一住宅」。一九七九年に完成した分譲マンションで、十八棟、四百八戸のマンモス団地だ。住民は当初からの居住者が約半数と、高齢に偏っている。
 管理組合の理事は二十一人。任期は一年で、組合員の住民が輪番制で担当する。月一回の定例理事会に出席し、営繕や植栽、駐車場など各担当について報告、運営方針を話し合う。
 約十年ごとに回ってくる理事だが、「住民の高齢化で体力的に厳しい。理事長は負担が大きく、敬遠されがち」と理事長の安本とよ子さん(78)。「私の時はくじ引きで当たってしまい、その瞬間は頭の中が真っ白になった」と振り返る。
 地域の民生委員などを務めてきた安本さんだが、管理組合の活動は初めて。経験者の協力を得る一方で、仕事が忙しく欠席しがちな理事もいるという。「私も含め、高齢の理事は急に体調を崩すなど、健康面の不安がある。今後はさらに高齢化が進み、活動は大変になると思う」と口にする。
 このため昨秋に、理事の在り方についての検討委員会を発足した。「経験者の再任」「一定の報酬を払う」「外部の専門家の活用」「任期の延長」など、さまざまな意見が出ている。
 NPO法人日本住宅管理組合協議会(日住協、東京都千代田区)の川上湛永(やすひさ)会長は、「マンションの管理組合については、無関心な住民が圧倒的。順番で、仕方なく引き受けるケースがほとんどでは」と話す。

◆資格緩和の効果薄く

 役員のなり手不足を解消するため、国土交通省は二〇一一年七月にマンション標準管理規約を改正。実際に居住していない組合員でも役員になれるよう、資格要件を緩和した。だが、川上会長は「状況に劇的な変化はなく、なり手は増えていない」と指摘する。
 「建物と住民という二重の“老い”が問題だ」と話すのは、NPO法人中部マンション管理組合協議会(名古屋市中区)の西尾弘之会長。「役員の仕事の負担を軽くすることに加えて、なるべく長持ちする材料を修繕で使うなど、改修工事の回数を減らす工夫も必要だろう」とアドバイスする。
 築三十五年の霧が丘グリーンタウン第一住宅は、水道管やガス管など大規模な改修工事を控える。「業者の請求書に押印する時は金額が大きくて緊張するが、費用を切り詰めるなど、主婦感覚も大切にして取り組みたい」と安本さん。
 また同住宅には完成当時から、管理組合とは別組織の、長期的な管理計画を見据えた専門委員会がある。「最初から同じメンバーが建物の状況や修繕を把握しているので、心強く助かっている」と言う。
 川上会長は「管理組合の支援体制が充実している全国的にも珍しいケース。自主的な運営をする管理組合として理想的で、模範になる」と話していた。