高齢化マンションで自主管理を続けるにはなにが必要なのか #マンション管理

東京新聞に、自主管理を続けているマンションが高齢化で行き詰まるケースが増えているために、対策を提言した記事が載っていました。

記事はこちら…

東京新聞:住民高齢化悩む「自主管理」 分譲マンション:暮らし(TOKYO Web)
長年、自主管理をしてきた分譲マンション管理組合の運営が、高齢化で行き詰まるケースが増えている。だが、管理会社への運営委託は費用負担が大幅アップするのが悩みだ。専門家は業務の分離発注によるコスト削減や、人付き合いの工夫で運営を活性化することなどを提案する。 …

記事では、住民の高齢化や、管理組合への関心不足で、これまで続けていた自主管理体制が維持できない悩みをもつマンションが増えているとしています。

マンションの自主管理の魅力は「管理費を抑えられる上、敷地の合同清掃や自治会費の集金などを通じ、住民同士の関係が維持できる」としています。

また、NPO法人日本マンション自主管理組合支援センターの小倉裕美代表の発言として「管理会社への丸投げは高コストのもと。浄化槽の清掃や植木の刈り込みなど、地元の専門業者に分離発注すれば、かなり安くできる」という意見を紹介しています。

東京新聞が指摘している「自主管理は管理費を抑えられる」「コミュニティの形成で住民の関係を維持」については、そのとおりなんですが、管理会社が高くてサービスが悪いという決めつけをした論調はちょっと違和感を感じます。

業務ごとに分離発注すればコストが安くなるという意見についてもごもっともですが、その発注管理を綿密にするにはかなりの専門知識と発注内容を精査して管理する時間と労力が必要になります。

「自分でやればなんでも安くて済みますよ」「業者に任せきりにすると騙されますよ」というのは正論なんですが、管理組合の現場を知っている者にとっては逆に机上の空論を振りかざしているように見えてしまいます。

と、揚げ足取りと思われてしまうような感想を述べてばかりいても仕方ないので、この記事で参考になった部分を引用しておきましょう。

マンションのトラブル事例を調査してきた、地域再生研究所(東京)の松本恭治代表は「命令調で迫る高齢の組合役員がいる。こういう人は人材を育てるより、つぶしてしまい、いつまでも実権を握る」と語る。その結果、住民の気持ちが運営から離れてしまう。

これは切実な問題だと思います。

管理組合への無関心が、一部の役員の暴走を助長することは確かにありますし(私も経験したことがあります)、一所懸命やる人ほどたまに口だけ出してくる人に威圧的な態度をとってしまいがちだというのは、無理もないことなのかもしれませんが、明らかに管理組合運営を阻害する要因になるでしょう。

管理組合の役員には、管理の実務的なノウハウももちろん学んで行く必要があるのですが、それと並行してコミュニケーション術もマスターする必要があるように感じています。

法律ではこうなっているという正論、住んでいる私が不快に思っているんだからというような感情論が入り乱れ、それぞれが権利を有して主張し合うのが管理組合。感情的にこじれてしまうと、「なにがなんでも反対」という対立図式に陥ってしまいかねません。

記事では飲みニケーションを進めていて、これには賛成しかねるのですが、心ある人たちが声を上げ続けることで管理への無関心を減らすことは可能だと考えていますので、通知や回覧などの活用を含めた管理組合の情報発信がこれからますます重要になるのではないでしょうか。