自主管理は是々非々だが、それよりもマンション管理士の成功報酬に問題があるのではないだろうか
「自主管理を薦めるマンション管理士には絶対頼んではいけない」という記事を読んで考えてみました。
記事では成功報酬のシステムについて解説。要するに……
コンサルティングと称して管理費の削減を提案、それが実施されて実際に管理の削減が実現したら、その50%程度を報酬として受け取るというものです。
たしかにマンション管理士はアドバイスをして、それに対する対価を得ることを許可されています。
しかしこれは、マンション管理士の名を借りた詐欺行為ではないかと思います。
同じようなケースに、管理替えを提案する管理会社の営業が挙げられると思いますが、こちらは自らサービスを提供するわけですから、マンション管理士によるアドバイス料とは性格が違います。
「こうしたほうが安くなりますよ」という提案は、コンサルティングとは呼べないレベルのものではないかと思います。
プロであれば、それがなぜ安くなるのか、その結果はどうなるのかをちゃんと並べてアドバイスするべきです。
「安かろう悪かろう」でマンション管理が破綻してしまうのでは、アドバイスした意味がありません。
管理費等が足りない場合には、支出だけでなく収入を増やす提案も必要です。
そうしたバランスのとれた提案をするために知識を蓄え、経験を積むのではないでしょうか。
従って、この記事で指摘している利敵誘導的なマンション管理士のアドバイスは許されるものではないと考えています。
一方で、自主管理に関しては、ケース・バイ・ケースだと思います。
経験のある理事が揃った管理組合であれば、中途半端な管理会社の提案を検討するより、案件ごとに個別に対処して、自主管理によって中間マージンを削ったほうがいい場合もあります。
その場合には、自主管理する理事側に経験と時間があることが条件になります。
これを、理事会を開こうにもいつも出席者の定員割れを心配するような管理組合にもあてはめようとするのはナンセンス。
マンション管理会社に一部委託をするなど、自主管理自体にもヴァリエーションが考えられます。
選択肢はひとつではなく、どの管理組合にも共通ではありません。
それがわかってくれば、マンション管理士に成功報酬などという意味のわからない支払いをするのも、一律に自主管理を否定することも、なくなるのではないでしょうか。