老朽化したマンションの建替問題には計画修繕も重要に関係してくるに違いない
マンションの建て替えを取り上げた新聞記事。
マンション老朽化の波 建て替え阻む「反対」の壁|日本経済新聞
2020年の東京オリンピック&パラリンピックに向けて、競技会場や……
交通インフラの整備の話題が盛り上がっているようです。
前回の1964年大会のときにも、戦後復興の追い風として建築ラッシュとなり、選手村として建てられた施設はそのまま公営住宅にスライドしたりしました。これをモデルとして、首都圏では流入する燈籠人口に対応するため、アパートやマンションの建設が積極的に行なわれるようになったことはご承知のとおり。
ということは、すでに築50年に迫ろうとするマンションがどんどん増えていく状況と言えるわけです。
湾岸部の新築タワーマンションが話題になったりしていますが、その背後には限界に近づいたボロボロのマンションが建て替えられるのかどうなのか不安を抱えながら大挙して待っているという、ちょっとシュールな状況。
建て替えを進めるにあたっての法的知識は重要になっています。
記事では、「建て替えは特別決議に含まれ、法律では特に5分の4以上の賛成が求められます。これだけの同意を得るのは決して簡単ではありません。マンション法務に詳しい篠原みち子弁護士は「計画が持ち上がった後、10~20年かかることも珍しくない」と言います。」というコメントによって、この問題の難しさを表現しようとしています。
仮に決議がいったん成立したとしても、一部の住民があくまで反対し、退去を拒むことも考えられます。そうした場合、一定の手続きを経て反対者の所有権を買い取る「区分所有権売渡請求」という方法もありますが、こじれて裁判に至る場合も多いそうです。
所有者から部屋を借りて住んでいる人が居座ったりすると話はさらに複雑です。建て替え決議をしても「借家権」をもつ賃借人を強制的に立ち退かせることは原則できないと考えられているからです。
こじれるのはこちらのほうでしょう。売渡請求は「買い取る」ものであって、「売りたくない」という意思を曲げることができるものではありません。
ちなみに老朽化したマンションを丸ごと売却するという選択肢もあります。法改正により今年12月から、耐震性が不足する場合、5分の4以上の賛成で建物・敷地を売却できるようになります。従来、売却には全員の賛成が必要でした。建て替えが実現しない場合の最終的な手段という位置づけです。
マンションのライフラインに重大な損失が現われて、生活の質が保てなくなった状態になれば、全体的に建て替えのムードも高まって、手続きもスムーズに進められるかと思いますが、それ以前の状態ではなかな各個人の事情も絡み合うので、一致団結に至るのは難しいと思います。
やはり修繕をマメに行なって、住める寿命を少しでも長く、という考え方は、こうした建て替えリスクも減らすものになるのではないでしょうか。