鉄部塗装工事でのトラブル「安い業者の落とし穴」2

 

前回は、公示前から行き違いなどが発生して暗雲漂うなか、なんとか鉄部塗装工事に着手したところまでを書いた。

 

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マンションの管理を考える » [実録マンション管理組合活動]鉄部塗装工事でのトラブル「安い業者の落とし穴」その1



2013年内の工事完了予定で……

 

年内にはその後、とくにフロントマンからの連絡もなかったので、てっきり工事はなんだかんだあっても無事に終了、あとは完了報告書が届くものとばかり思っていたのだが、年明け2月になってフロントマンから電話があって判明したのは、いまだに報告書ができず、従って業者への支払もできないじょうたいであるのだが、それでは業者が困るからどうしようという困った状況になっていた。

 

ちょっとややこしいのだが、その業者を紹介した役員は、紹介した手前もあるので工事のチェックをして報告書を作ってくれることになっていて、一応工事は終了したということで現地を確認したところ、だいぶ不具合が発生していて、年明けからやり直しをしているとのこと

従って工事はミカンのままで、契約は継続したままだから支払義務も生じていないわけだが、年度末ということもあって支払がないと業者が不測の事態に陥りかねず、そうなると困るのが発注者である管理組合となる。

中途半端で工事が止まったままとなり、また新たに工事を仕切り直さなければならなくなる。

 

こうした事態を回避するための方策を話し合うために、紹介者である役員とともに現地へ出掛けたーーというのが前回の書き出しの部分だった。

 

現地に到着してフロントマンと屋上に上がって修正状況を見ると、塗面が生乾きで浮いているという症状。おそらく低温が原因と、責任者の“親方”も言い訳していたのだが、であれば工期の設定に問題があったはずという怒りをグッとこらえて、解決策を探すことにする。

 

工事は屋上防水および鉄部塗装による保護を目的とし手いるわけなので、その目的を遂げるにはどうすればよいかが優先されなければならない。現状では不備が発生していて、それを直しているわけだ。

 

ヒアリングによって、不具合の修正に2週間、その後再び紹介役員のチェックを受けて、報告書作成に1週間、それを受け取れば工事完了となることを発注側と受注側双方で確認し、完了をもって支払をすることを業者に伝えた。

 

その代わりの条件として、梅雨明けあたりの7月に再度チェックを行ない、アフターケアとして不具合がある場合は再度補修をすることを提案し、これを受け入れてもらった。

要は現状で不具合がちゃんと直っているかを確認するのは難しいこと、確認できるまで支払を延ばすのは業者にとって大きなダメージとなるばかりでなく、理事会側も計画修繕の工事が終了せずに説明責任が発生するという困った事態になることが予想されたため、区切りを付けたかった。

理事会としては「だって業者が悪いんだから」という言い訳では済まされず、工期が長引いたことも含め、業者の決定経緯や契約の責任を総会で追及されることに備えなければならない。

 

責任回避よりも、善意で安い業者を紹介してくれた役員の厚意を否定しないためになんとかしたかった。

というのは、こうした修繕工事のトラブルは避けきれないものだし、トラブルの責任を紹介者に押し付けてしまうと役員のなり手がますます減ってしまうことが考えられるからだ。

 

怒鳴っても解決しないし、この施工業者に対してはそれなりの評価をしておけばいいだけのこと。理事会では常に次善策を立てて、トラブルが発生してもフォローして軌道修正を迅速にしていくことが求められる。

安くて仕上がりのいい業者に出会えれば、管理組合としても管理会社としても財産になっていたはずだ。今回は縁がなかったと(運がなかった?)と思うしかない。

 

実はこの工事、夏になってチェックしてもまだ不具合があるので、さらに修正中。うーん、安物買いの銭失いになってしまったのは、やっぱりイタイかなぁ……。

 

管理会社が紹介する業者は少し高いという印象をもつことが多いのだけれど、管理会社は多くの実績のなかから業者を絞っているので、こういうトラブルのない業者を推してくれるはずだし、値引きしないから見積は少し高くなるかもしれない。工事監理を含めて数字に表れない「安さ」を考えることも、業者選びのときには必要だということを痛感する工事になってしまった。