マンションの給水を受水槽方式から直送方式に変更する際のポイント
「マンション管理センター通信」2014年2月号の「給水の直送方式と受水槽方式のメリット・デメリット」という記事。
■photo by – Ariful H Bhuiyan –
著者は……
日本総合住生活株式会社技術部安全点検課長の椛木謙一氏。
技術の進歩によって、これまで受水槽を設置して引力を利用した給水を行なうのが一般的だったマンションの上水設備に、水道管本管から直接各戸に給水する直送方式の選択が可能になってきました。
記事では、受水槽方式と直送方式のメリットとデメリットを説明。とくに災害時にストックできない直送方式のデメリットは気になるところです。
大きな問題として、具体的に直送方式に変更するとして、どれぐらいのコストがかかり、受水槽のときとどれだけ違うのかがあるでしょう。
そのコスト比較についても言及しています。
記事では、築20年、5階建て4棟100戸のケースで20年後を想定。
まず、受水槽方式での経費
a)給水ポンプ:周期8年でオーバーホール(150万円)、周期16年で交感(240万円)
b)動力制御盤:築30年で交感(200万円)
c)流入弁装置:周期10年で交感(30万円)
d)受水槽:築35年で交感(700万円)
e)管理費用:入水総清掃、水質検査費、電気料金等(105万円/年)
⇒今後20年で3,675万円。
直結増圧方式に変更した場合の経費
a)改修工事費:初年度に1,400万円
b)逆流防止弁:周期10年で交感(20万円)
c)ポンプユニット:周期15年で交感(400万円)
d)管理費用:電気料金等(30万円/年)
⇒今後20年で2,480万円。
このケースの場合、20年後には1,195万円の差額が出るので、直結増圧方式への改修が効果があるという計算になります。
この総コスト逆転については、戸数によって異なるので、注意が必要です。
また、行政の補助金などを受けられる可能性もありますので、事前に各所に問い合わせておいたほうがいいでしょう。
築20年では給水管の改修について管理組合の話題に上ることは少ないかもしれません。しかし、こうしたコスト計算を事前にしておくだけでも、理事会の議案にのせるかどうかの判断材料になると思われます。
また、給水の管径など既存のものが使えないこともありますので、専門家にアドバイスを求めたほうが懸命でしょう。
給排水はマンションインフラのなかでも神経質にならざるをえない部分。選択肢を多くもっておいたほうがいいと思います。