役員報酬の支払いを渋る抵抗勢力のおかげで役員になれないマンションの管理規約取得での顛末2

 

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理事会の開催要件を満たさずに理事会を開いているらしき管理組合に役員になりたいといっても報酬の面で折り合わずにちょっと困ったことになりそうだという前回の話はこちらから。

 

マンションの管理を考える » 役員報酬の支払いを渋る抵抗勢力のおかげで役員になれないマンションの管理規約取得での顛末1

ということで、フロント氏に電話をして、管理規約のコピーをもらおうとしたら……

 

案の定、料金がかかるという杓子定規の答えが返ってきた。

「PDFでいいんだけど」と言っても、「ウチではPDFは扱ってません」とけんもほろろ。

中古マンションの場合、一般的に管理規約は売買の際に必要となるため、売主の仲介業者が用意しなければならないはずだ。

この場合、管理会社が物件を管理していれば、管理組合からの業務委託の範囲内で提供し、これを断わることができない。

しかし、業務として行なうので、必要な料金を請求してもよいことがマンション管理適正化法で決められているので、管理会社は管理規約のコピーを仲介業者に対して発行する際に手数料を請求する。

相場は1,000円ぐらいだろうか。

私も、横浜から都内の往復交通費と手間を考えたらそのぐらいの出費は仕方ない(郵便で取り寄せれば定形外の切手代を含めても1,200円ぐらいで済むので)と思っていたが、フロント氏の回答は、「1,500円の手数料を振り込んで、確認でき次第送る」というものだったので、少々カチンッときた。

本来、管理組合は組合員及び関係者の請求に応じて規約原本を閲覧させなければならない義務があり(区分所有法第33条2項)、その代わり書面で請求し、閲覧は理事長の都合で指定できるなどの配慮があるように(マンション標準管理規約単棟型第72条5項)と促されているわけだが、これは営利な業者の都合で理事長の日常を無用に忙しくしないための防御策であり、組合員に対してはできうるかぎり公開士、管理組合運営に役立てるのが原則であるはずだ。

組合員である私がちゃんと管理規約を確認して理事会の問題に参加したいというのは、正当な事由以外のなにものでもなく、それを軽視規定に売買業者と同様に扱う態度に疑問が残ったというわけだ。

ちなみに、私が理事長をしている別の管理組合では、役員の更新に際して最新の規約のコピーを運営費内で支給するようにしている。そうしなければコンセンサスが得られないからだ。理事会への参加の意志が少しでもある組合員には、必要な出費だと考えている。

一方で管理会社にも、タダでコピー作業をさせるというのは酷だろうから手数料は必要だろうが、いまの世の中、ファイル・データをプリントするだけの数クリックの手間とコピー用紙とホチキス程度なのだから、必要以上に手数料を取るようなハードルの上げ方を管理会社がしないように管理組合がチェックする必要もあるだろう。

ということで、管理規約を組合員が閲覧したいというのは当然であること、仲介業者と同様の対応に抗議する意味を含めて、フロント氏には「コピーを見せてくれ」とメールをしてみた。

10日以上の先のスケジュールで、管理会社まで私が出向くという条件付きで、だ。

コピーの手数料の回答は翌日届いたが、今回の閲覧については1週間してようやく到着。

どう対応するのか興味津々だったが、回答は「お待ちしております」とのこと。

さて、訪問したらどうなったのかは、また次回。

 

建物の区分所有等に関する法律
(昭和三十七年四月四日法律第六十九号)
最終改正:平成二三年六月二四日法律第七四号

第三十三条  規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。
2  前項の規定により規約を保管する者は、利害関係人の請求があつたときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧(規約が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したものの当該規約の保管場所における閲覧)を拒んではならない。
3  規約の保管場所は、建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。

 

標準管理規約(単棟型)

(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合 (規約原本等)
第72条
この規約を証するため、区分所有者全員が記名押印した規約を1通作成し、これを規約原本とする。
規約原本は、理事長が保管し、区分所有者又は利害関係人の書面による請求があったときは、規約原本の閲覧をさせなければならない。
規約が規約原本の内容から総会決議により変更されているときは、理事長は、1通の書面に、現に有効な規約の内容と、その内容が規約原本及び規約変更を決議した総会の議事録の内容と相違ないことを記載し、署名押印した上で、この書面を保管する。
区分所有者又は利害関係人の書面による請求があったときは、理事長は、規約原本、規約変更を決議した総会の議事録及び現に有効な規約の内容を記載した書面(以下「規約原本等」という。)の閲覧をさせなければならない。
第2項及び前項の場合において、理事長は、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
理事長は、所定の掲示場所に、規約原本等の保管場所を掲示しなければならない。
(イ)電磁的方法が利用可能な場合 (規約原本等)
第72条
この規約を証するため、区分所有者全員が書面に記名押印又は電磁的記録に電子署名した規約を1通作成し、これを規約原本とする。
規約原本は、理事長が保管し、区分所有者又は利害関係人の書面又は電磁的方法による請求があったときは、規約原本の閲覧をさせなければならない。
規約が規約原本の内容から総会決議により変更されているときは、理事長は、1通の書面又は電磁的記録に、現に有効な規約の内容と、その内容が規約原本及び規約変更を決議した総会の議事録の内容と相違ないことを記載又は記録し、署名押印又は電子署名した上で、この書面又は電磁的記録を保管する。
区分所有者又は利害関係人の書面又は電磁的方法による請求があったときは、理事長は、規約原本、規約変更を決議した総会の議事録及び現に有効な規約の内容を記載した書面又は記録した電磁的記録(以下「規約原本等」という。)の閲覧をさせなければならない。
第2項及び前項の場合において、理事長は、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
理事長は、所定の掲示場所に、規約原本等の保管場所を掲示しなければならない。
電磁的記録により作成された規約原本等の閲覧については、第49条第5項に定める議事録の閲覧に関する規定(理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面又は電磁的方法による請求があったときは、議事録の閲覧(議事録が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報の内容を紙面又は出力装置の映像面に表示する方法により表示したものの当該議事録の保管場所における閲覧をいう。)をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。)を準用する。