役員報酬の支払いを渋る抵抗勢力のおかげで役員になれないマンションの管理規約取得での顛末1

その日の午前中のことでした。

都内N地区にある所有マンションの管理会社Nのフロント氏に電話をしました。

photo by Sean Molin Photography

というのも…

管理規約を確認しようと自宅を探していたのですが見当たらず、再発行してもらえないかと思って連絡してみたわけです。

この物件では欠かさず管理組合総会に出席しているのですが、不在オーナーに対して風当たりの強い一部の居住オーナーがいて、総会でも私が不在オーナーであることを理由に「私たち=居住オーナーに任せなさい」的な発言で軽い拒絶をされ続けています。

私としても、まだまだ一般的には居住オーナーが中心で管理組合運営ができるのであればやぶさかではなく(標準管理規約でも不在オーナーには冷たいですからね)、とくに問題なく運営されていればわざわざ苦労を背負い込むこともなかろうと傍観することにしていました。

ところが先日開催された総会で、この件では中立的な立場をとっていた理事長が急遽退任し(すぐにお亡くなりになりました)、その後任に拒絶派が台頭する局面へと進展していました。

私は自分がマンション管理士であること、自分の資産の価値を守りたいのでそのために管理組合のスムーズが運営が不可欠だと考えていること、その協力は惜しまないと思っていることを伝えたのですが、「では理事へ」という話には至りませんでした。

その理由として、私が理事出席のための交通費を実費で支給してほしいと言ったことが気に入らなかったようです。

拒絶派は、管理組合は“自分の家のこと”なのだから無償で対処すべきだという姿勢を崩そうとしないようなのです。

私自身はほかの物件で、マンション管理士報酬ではなく、役員報酬として年に数万円を受け取っているところが3件あります。そのいずれもが、役員それぞれ時間を調整して能動的に管理組合運営にあたっています。ちなみに、居住オーナーと不在オーナーの割合は3対7で不在のほうが多いという実態があります。

つまりそれは、居住オーナーだけでは管理組合運営ができないことを意味し、報酬は管理組合運営の実践的なインセンティヴになるということです。

この管理組合で役員が無償の居住者で問題なく運営されているのであれば、あえてこの話を持ち出すまでもありませんが、その総会では役員出席が定員半数のギリギリ、つまり誰かが休めば理事会が開催できないという“限界マンション管理組合”に足を踏み入れている状態なのです。

というわけで黙っているわけにはいかないので、オブザーバーでもいいから(とりあえず報酬も要らないから)理事会に参加させてくれと申し出て、ようやく再任された役員たちに承認されることになりました。

これで次の手を考えようと思っていた矢先、まだ総会議事録も届かないうちに、なぜか総会後1カ月の日付の理事会議事録が送られてきました。

しかも案の定、出席者は理事の半数に満たず、欠席理事名のところに「委任」と記されていました。

ご存知のように、理事会の開催は理事の出席を条件とし、その組織の性格上委任が適さないという判例も出ています。

理事会運営の筋が外れ始めている恐れが出てきたわけです。

管理会社も理事会の開催要件を満たしていないことを看過していたのかを確認しなければなりません。

対処を考える前にまずはこの物件の管理規約を確認しようと資料のファイルを探してみると、見当たらなかったのです。

そこで、理事会開催についての見解と、オブザーバーである私に連絡がなかった理由、そしてついでに管理規約をコピーさせてもらおうと思って、フロント氏に連絡をしたのですがーー。

(つづく)