マンション共有部分を社会的・公共的組織体が所有することで建て替え費用の負担軽減も

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photo by Pink Sherbet Photography

 

「マンション管理センター通信」2013年1月号に、明治大学名誉教授の玉田弘毅氏が「分譲マンションの建替え問題を考える」と題したコラムを寄せています。

 

区分所有法制定施行50年ということなのですね。

阪神淡路大震災および東日本大震災によってマンションが被害を受け、これによって建て替えニーズが大幅に高まったことは事実でしょう。

一方で、民法の延長線上で考えられてきたマンションの“憲法”である区分所有法では、この点についてあまり想定されていなかったというのが正直なところ。

国土交通省でも、この点について早期の改正が必要との認識で動いているというのが現状です。

玉田教授はマンションの建て替えに関わる法的問題点について取り上げ、検討を試みています。

 

これらはすでに改正案として進んでいるものもあり、行政が介入して建替えを後押しする流れが今後も強まっていくことが予想されます。

玉田教授はこれに加えて、都市行政法敵視点絵はマンションは「行政機能をもたない街」と言われていることを指摘して、共用部分は平面街区における道路に相当するとして、こうした役割や機能を有しているマンションは、「社会的・公共的組織体が所有するのが相応しいともいうことができるのではないでしょうか」と述べています。

これはつまり、マンションの建て替えにおいて所有者が専有部分の負担を負うのはもちろんですが、共用部分に関しては行政等が補助等の負担軽減をしてもいいのではないか、というわけです。

敷地の一部を公園にするなどの場合にこのような措置がとられることはこれまでもあったと思いますが、マンションの建物自体を「公道に準じたスペースが存在する」とする考え方は、一歩前に出たものだと感じます。

区分所有法にどのように落としこむかが難しいとは思いますが、負担軽減の内容によっては条例等でも可能ではないかとも思いますので、今後の展開が期待できるかもしれません。