管理組合と管理会社の関係はビジネスではあるけれど #マンション管理

私が見聞きしている管理組合と管理会社の関係を思い浮かべてみると、程度の差こそあれ、よく言えば「主従の関係がはっきりしている」、悪く言えば「管理組合が自分の管理会社を“手下”くらいにしか思っていなくて、…

怒鳴り散らしている」という状況にあったりしています。

これはまず、管理組合の知識が浅いため、自分が委託している管理料が適正化どうかがわからずに、「厳しく接しないと甘く見られてサボるんじゃないか」という疑心暗鬼によって引き起こされる行動である可能性があります。

また、複数のマンションを担当している管理会社の担当者が自分のマンションを優先的に考えるように仕向けるという、策略的な面もあるようです。これは実際に複数の役員から聞いたことがあります。

まさに「飴と鞭」ならぬ「鞭と鞭」で、払った業務委託費の元をとってやろうというのが、こうした行動の底辺にあるのではないでしょうか。

「マンション管理センター通信」2012年12月号の連載「活躍するマンション管理士」第84回「住んで良かったと思えるマンションの実現のために」(マンション管理士・戸部素尚)という記事に、筆者の戸部氏が考えるマンションの管理組合と管理会社の関係について書かれてあったことを引用したいと思います。

ビジネスといえども人対人の業務ですから、管理組合と管理会社の間でありがとうの一言も交わされないような付き合いではマンション管理の質の向上はないと考えています。

ビジネスの現場ではよく、発注側と受注側の力関係が表面化して、ふんぞりかえる人とペコペコする人の関係が出来上がったりしてしまいますが、果たしてマンション管理の現場でそれが当然のように行なわれるのはどうなのか、という問題提起です。

もちろん、発注したからには、その内容に見合ったサービスを提供してもらわなければなりません。欠けている部分があればクレームを伝え、改善や価格の交渉も必要になるでしょう。

しかし、管理員を含めて、管理会社に委託する業務は、「自分が住むところ、あるいは自分の財産を管理してもらう」という信頼関係が必要になるものなので、物品の売り買いとはちょっと違うのではないかと思うのです。

いつもガミガミと必要以上に文句を言っていれば、「あー、あそこはうるさいから先に手をつけておくか」となるかもしれません。しかし、それがよいサービス、よい提案を生んでくれる環境に育っていくかは疑問です。

もちろん、預けっぱなしで、管理組合としての責任、自分の財産であることをも放棄しているような態度で管理会社と付き合うのは論外ですが、管理会社の専門性を尊重し、スキルがあるからこそ委託しているのだということを忘れなければ、「ありがとう」と言える関係を築くのもそれほど難しいことではないと思います。

スキルがない管理会社、不誠実な担当者や管理会社は、それを見抜いて、管理替えをすればいいのですから。