マンション管理員のトラブルが増えている!?[ニュース拾い読み]

「管理を買え!」とまで言われる分譲マンションですが、その最前線、住人との接点がいちばん多いのが管理員。

管理員は、一般には分譲マンションの共用部を管理する管理会社から派遣されます。

なので、管理員の管理は契約上、管理会社が責任を負わなければなりません。

しかし、問題が起きると、真っ先に迷惑や害を被るのは住人であり、所有者の資産価値を扱うことにもつながるのです。

この記事では、管理員が起こした事件を紹介。

管理員室に見知らぬ女性がいるのをたまたま管理会社の担当者(フロントマン)が発見。事情を調べると、近所の不動産業者で、管理員から売却の意向のある所有者の話を聞いたことをきっかけに接近。謝礼や手土産を渡す間柄に発展して、管理員が管理員室を空けるタイミングで訪れて、室内の住人情報を盗み見る行為を繰り返すようになっていたという話です。

完全に犯罪ですが、立件するのは難しく面倒ですね。

この記事では管理員の退職で幕引きになったようです。

ほかにも、ごみ置き場から粗大ごみを持ち帰ったり、ネットやリサイクルショップに売却して収益を得たり、管理員室での居住者の子ども預かり、荷物預かり、不在時の部屋鍵の預り、室内の電球交換対応などといった事例が挙げられています。

後半の事例は「親切な管理員さん」で済みそうですが、問題になっているのは、その報酬として金品の授受があること。

エスカレートすると、管理員から金品を要求して「その件は自分が対応する」と独占してしまうことで、そうした対応に疑問を感じた居住者や所有者が管理会社に「どうなってるんだ?」と問い合わせて発覚するという状況のようです。

管理会社は、こうした事件に発展するトラブルがあると、軽度の場合は国交省からの行政指導、刑事事件のような重大案件では業務停止処分を受け、その履歴は「国土交通省ネガティブ情報検索サイト」で公表されて、誰でも見ることができるようになります。

こうしたトラブルを避けるため、管理会社も管理費はもちろん、フロントマンも現場で現金を扱うことのないように業務内容を見直しています。

問題点

記事でも指摘しているように、管理員は派遣される管理会社との契約内容に従って業務を遂行し、それ以上を求められるものではないというのが一般的な見解で常識と呼ばれるものでしょう。

しかし、前段で触れたように、特に管理は居住者にとっていちばん身近で頼れる「家守」であることを忘れてはならないのではないでしょうか。

マンションの諸々の不具合を相談できる窓口が管理員であれば、ワンストップで問題解決、依頼者は満足して、菓子折のひとつも贈りたくなるというのが人情であり、頼れる管理員さんがいるマンションは価値も向上。

そうした質の高い人材を手離さないためにも、居住者や所有者が”袖の下でつなぎ止めようとしたいのもわかる気がしないわけではありません。

そして、管理組合や居住者からの要求がエスカレートすることで例外的な報酬が常習化、高額化していくという構図。

記事では、こうした事態にならないようにコンプライアンス意識を高めようと締め括っています。

私見では、より具体的に、問題事例の窓口の設置(フロントマンと管理組合の共有)、問題事例の公開(各戸ビラ配布、管理組合総会での報告)などで周知していく努力が必要だと思います。