マンションの駐車場トラブル実例編1

前回は、マンションの駐車場トラブルの概要に触れましたが、私が携わっている件についてちょっと書いておきたいと思います。もちろん、守秘義務に関することや、進行事案で差し障りのある部分もあるので、その辺はご容赦ください。

郡上八幡 #10 駐車場 - 無料写真検索fotoq
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無断駐車の問題は、かなり手こずっています。

これは、ほかの区分所有者に割り当てているスペースに、無断で駐車してしまうものです。来客用に用意した駐車スペースに無断で留めて動かないという話もよく耳にします。

路上ではなく、私有地内で発生している事象のため、警察は積極的に動いでくれません。

もちろん、自力救済はNGです。そう、レッカーなどで強制的に移動させることができないという、やっかいな案件なんです。

これへの対策は、まず管理組合が駐車場を管理していることを明確にすること。規約や細則でちゃんと決まっていないと、なかなか行政は動いてくれません。また、裁判を起こすときにも、 証拠として規約や細則を提出しなければなりませんから、まずはこれが必要になります。

細則に、「無断駐車は××円の罰金を徴収します」という文言を入れておきます。これで準備はオーケーでしょう。

無断駐車の車両がいつどのくらいのあいだ規約や細則に違反していたかの記録をとっておきます。メモと、写真(日付や時間が入ったものがベスト)があれば証拠として有力です。

念のために、警察にも届け出をしておきましょう。警察は私有地内のトラブルに非協力的ですが、何度も「これこれで市民が困っている」と泣きついて、そのたびに記録をとっておいてもらいます。これも裁判資料として有効です。

実は、同じ管轄であれば、繰り返して迷惑行為である無断駐車をしている車両のナンバーを警察が教えてくれることもあるようです。

しかし、管轄が違うと問い合わせる必要が生じるために、事件性の有無が必要になってしまうようで、私有地のただの無断駐車では取り合ってくれないのが実情のようです。

でも、繰り返しの届け出と、裁判の準備のためという名目であれば、状況は変わってきます。

車両の所有者の特定が必要な理由は、提訴が不特定の相手ではできないためです。相手を特定して、迷惑行為による損害賠償請求訴訟を起こします。

「そんな面倒なことをしなくても、ただ無断駐車を止めさせられればいいんだけど」と思うでしょうが、実際には迷惑行為を「止めろ!」と言っただけでは止めないから繰り返しているわけで、常習者には私有地内で手出しができないことを悪用している者もいるようなのです。

自力救済までいかずとも、車の前に障害物を置くなどの嫌がらせをすると、逆に「車が傷ついた」などと訴えられたりするので、注意したほうがいいと思います。

とても回りくどいやり方しかないのがなんとも悔しいのですが、日ごろから地元の警察などとコミュニケーションを取りながら、合法的に対処する姿勢を見せていくと、無断駐車をしている輩も「なんだかヤバそう」と感じて、寄り付かなくなることがあるそうです。

区分所有建物は1オーナー物件と違って、「ダメなことはダメ」と突っぱねられないことも多いのですが、粛々と進める手続きで対処することを覚えれば、共有スペースの管理もやりやすくなるようですので、急がば回れ、短気は損気を心掛けて対処することをお勧めしたいと思います。

もちろん、マンション管理士のような「窓口」になって対処してくれる担当者がいれば、心強いことは間違いないですね。

行政を動かしていくのは手間も時間もコツも必要ですので、そのあたりのスキルを私ももっと磨いて行きたいと思っています。

Emily, Salon, Secretary - 無料写真検索fotoq
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