賃借人さんだけでなく大家さんも活用したい「住居確保給付金」

コロナ禍でいろいろな補助や給付の話題を耳にしますが、衣食住という大切な部分で、意外と取り上げられていないと思われる「住居確保給付金」についてシェアしたいと思います。

住居確保給付金とは?

「離職等により経済的に困窮し、住居を失った又はそのおそれがある者に対し、住居確保給付金を支給するこ とにより、安定した住居の確保と就労自立を図る」ことを目的とした制度です。

これは、「緊急雇用創出事業臨時特例基金(住まい対策拡充等支援事業分)事業として平成21年10月から行われている住宅支 援給付事業(平成26年度末までの事業)を制度化」したものです。

主に、就労能力がある、または就労経験のある人に対して、再就職のための支援制度で、原則として3ヵ月間をメドに支給されます。

住居確保給付金の概要

支給対象者は次のとおり。

  • 申請日において65歳未満であって、離職等後2年以内の者
  • 離職等の前に世帯の生計を主として維持していたこと
  • ハローワークに求職の申し込みをしていること
  • 国の雇用施策による給付等を受けていないこと

支給要件は次のとおり。

  1. 収入要件:申請月の世帯収入合計額が、基準額(市町村民税均等割が非課税となる収入額の1/12)+家賃額 以下であること。家賃額は、住宅扶助特別基準額が上限。(東京都1級地の場合)単身世帯:13.8万円、2人世帯:19.4万円、3人世帯:24.1万円
  2. 資産要件:申請時の世帯の預貯金合計額が、基準額×6(ただし100万円を超えない額)以下であること。(東京都1級地の場合)単身世帯:50.4万円、2人世帯:78万円、3人世帯:100万円
  3. 就職活動要件:ハローワークでの月2回以上の職業相談、自治体での月4回以上の面接支援等

支給額
賃貸住宅の家賃額(上限額は住宅扶助特別基準額)(東京都1級地の場合 単身世帯:53,700円、2人世帯:64,000円)

支給期間
原則3か月間(就職活動を誠実に行っている場合は3か月延長可能(最長9か月まで))

どう利用するのか?

この支援策が注目されていないっぽいのは、「就労能力がある、または就労経験のある人に対して、再就職のための支援制度」という前提に引っかかりがあるからではないかと思います。

要するに、失業保険の家賃版的な捉え方をされているのではないでしょうか。

しかし、今回のコロナ禍では、支援のハードルが下げられています。

住居を失ってしまえば、休業や自宅待機などを強いられている人が失業してしまいかねないわけです。

そうした雪崩式の生活崩壊を防ぐためにも、この支援制度を積極的に活用したいものです。

また、賃借人さんが主に対象となるわけですが、大家さんも関係ないと見過ごさないようにしたいものです。

というのも、賃借人さん、つまり店子さんの窮地をこれで救ってあげることが可能になるかもしれません。

店子さんが窮地に陥れば、家賃が滞り、出てしまうかもしれません。

それは大家さんにとっても大きな損失です。

それを防ぐために、大家さん側からも店子さんや、不動産管理会社の担当者に声がけして、対応することが得策です。

情けは人のためならず、です。それが人の役に立つのであれば、ぜひご活用いただきたいと思います。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/0914_shiryou03_1.pdf