マンションの大規模修繕などでのコンサルタントによるトラブルを回避するために
分譲マンションにとっての大規模修繕工事は、式年遷宮にも等しい重要な“行事”と言えます。
しかし、それがどのように重要なのか、どう処理すればいいのかについては、運営の主体であるマンション管理組合を構成する区分所有者に専門知識をもつ人がほとんどいないこともあり、きちんと把握されていないのが実情です。
近年、マンションの管理状態に対する意識の高まりから、大規模修繕工事への関心も高まっているようですが、いかんせん管理組合員だけでスムーズに進めようとするには無理があることも確か。
そこで、“専門家”と称するコンサルタントを交えて、これらの問題解決にあたろうという管理組合も増えています。
ところが、コンサルタントが“専門知識をもった管理組合の味方”と言い切れない状況も噴出しているようなのです。
こうした状況を踏まえて、国土交通省では平成29年5月から7月にかけて、直近の3年間で大規模修繕工事の設計コンサルタント業務を受注した企業へのアンケート調査を実施。
マンション管理組合でのコンサルタント業務の実態を明らかにしようとしました。
結果はこちら→マンション大規模修繕工事に関する実態調査|国土交通省
国土交通省の目的としては、コンサルタント業務の実態を整理し、適正な発注をするための指針を作ろうというもの。
この調査結果には、マンションの戸数規模別9種類の平均値を出して、コンサルタント業務が不当に行なわれていないかを比較・参照できるようにしています。
見ていただくとわかりますが、かなり詳細に規模ごとの大規模修繕工事の例を集め、その中央値で適正な発注額やコンサルタント業務の信憑性をはかれるようになっています。
コンサルタント業務のトラブルでは、バックに工事業者がいて、マージンをのせた発注額を管理組合に提示するものが増えているとのこと。
コンサルタント料を安くしたり無料をうたったりして管理組合に取り入り、マージンで稼ぐコンサルもいるようですので、注意が必要です。
管理組合で大規模修繕工事の話が出たら、ぜひこの資料を手元に置いて、工事費用の見積もりはもちろん、相談する専門家自体が適正なのかどうかを判断してから、進めてください。
なお、なにかコンサルタント業務に関して困ったことがあったら、国土交通省からも以下の窓口に相談するように呼びかけています。
<相談窓口>
○(公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター
https://www.chord.or.jp/reform/consult.html
(電話番号)住まいるダイヤル …0570(016)100
※施工費用については「見積チェックサービス」(無料)も行っています。
○(公財)マンション管理センター
http://www.mankan.or.jp/06_consult/tel.html
(電話番号)建物・設備の維持管理のご相談 …03(3222)1519
参考:設計コンサルタントを活用したマンション大規模修繕工事の発注等の
相談窓口の周知について(通知)