東京都のマンション管理に関する検討部会のどこがどのように「雲泥の差」なのかを調べてみた

 

 

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東京都が昨年度から立ち上げた住宅政策審議会のマンション部会について、「雲泥の差」と評している記事があったので、気になったから読んでみました。

 

この記事(「国交省の「検討会」とは雲泥の差 都のマンション部会での審議内容|日本不動産野球連盟」)、日本不動産野球連盟という団体のサイトのニュースとしてアップされたもの。

 

日本不動産野球連盟(RBA)とは、スポーツを通じて不動産・建設業界の親睦と反映と発展及び国際親善を推進し、世界平和に貢献するという理念をもって平成元年に設立された団体とか。幹事会社に三井不動産、三菱地所、東急不動産ホールディングスというそうそうたる企業が名を連ね、野球大会を開催しているようです。

 

タイトルから察すると、国交省の「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」に比べて東京都が立ち上げた住宅政策審議会のマンション部会が「雲泥の差」との批判記事のように見えますね。

 

東京都のマンション部会は「雲」なのか「泥」だったのか?

 

さて、どちらがどちらに比べてすばらしいのか(ひどいのか)。

 

それがよくわからない不思議な記事です(笑)。

 

東京都のマンション部会では、「変なことをしゃべれば齊藤氏か篠原氏に一喝される」ので、委員が慎重になっているとしています。

 

名前が挙がっている齊藤氏は、明海大学教授。1960年生まれで不動産会社勤務を経てから大阪市立大学大学院生活科学研究科を修了している学術博士。

 

『住環境マネジメント〜住宅地の価値をつくる』を語る|学芸出版社」にご本人のインタビュー動画がアップされているので見てみたところ、他の委員を一喝するようなキャラクターではなさそうなので、「国交省の「検討会」とは雲泥の差 都のマンション部会での審議内容|日本不動産野球連盟」の記者の意図がイマイチ伝わってきません。

 

もうひとりの篠原氏は、マンション管理の第一人者との呼び声も高い篠原みち子弁護士。今年で弁護士歴37年になるベテランで、一般社団法人マンション管理業協会及び公益財団法人マンション管理センターの理事を務めるほか、国土交通省主催「マンション管理業の適正化の推進に関する制度検討会」をはじめ多くのマンション管理関連の委員も務めるという重鎮。

 

国交省の「検討会」とは雲泥の差 都のマンション部会での審議内容|日本不動産野球連盟」がなにを「雲泥の差」といっているのかはともかく、議事録の一部を紹介しているので読んでみました。

 

管理状況の把握が急務であること、それには豊島区のような届け出義務が必要ではないかという指摘。

 

マンション管理の定義が広すぎるので、行政が対応するためには改めてテーマを絞る必要があるとの提案。

 

支援ではなく、管理不全状態に陥らないための啓蒙が必要という指摘。

 

といった、マンション管理に関する実情のコンセンサスをとるところから始まっていたようです。これはこれで有益だったのではないかと感じます。

 

いずれにしても、実情を把握するための方法論すら確立されていない現状では、対策を立てるための情報も限られているという認識で一致したようです。

 

マンション管理には、行政すらどんな問題が発生しているのか把握できていないという実情が浮き彫りにされたかたちとなったわけです。

 

現在は、行政が管理組合の活動に関与できる法的根拠はなく、管理組合に拒否されれば支援・指導することができないのが実情である

 

この実情をどう変えていくのか問われるのが、東京都のマンション部会となるわけですね。

 

「雲泥の差」ではなく、「雲をつかむような話」というのがマンション部会の前年度における7回にわたる会合の結果といったところでしょうか。

 

モデル事業なども新たに立ち上げられるようなので、こうした研究会がどのようなかたちで発展していくのか、期待をもって見守っていきたいですね。