マンションの認知症によるトラブルは今後ますます増加していくに違いない

 

昨日に続いてマンションの高齢化問題についてです。

 

「管理人が家のものを盗む」 管理組合悩ます「認知症トラブル」とは?|dot.

 

5228337278_f4d4c35d96_m photo by Dan Finnen

 

記事では、70代の一人暮らしの居住者が引き起こしたトラブルが……

 

解決の糸口をつかめないまま深刻になっていることを伝えています。

 

 火種は、2年ほど前に入居したおひとりさまのカズコさん(仮名・70代半ば)だ。

 

このカズコさんが、「管理人が勝手に家の中に入ってモノを盗む」と言いだしたのを皮切りに、「高級マイカーを駐車場に止める際にマンション外壁にぶつけまくり、車は傷だらけ。カギを忘れて自宅内に入れず一晩中大騒ぎ。マンション周辺を一軒ずつ回っては「管理人にモノを盗られた」と言いだす……」とその行動をエスカレートさせていったのだそうです。

 

このマンションの理事のひとりが、同じような症状の身内がいたことから「認知症」であることに気付いたそうなのですが、経験のないほかの住民は不信感を募らせるばかりだったようです。

 

 さらに、「万が一、身寄りのないカズコさんが孤独死したら、マンションの資産価値が減ってしまう」といった懸念も聞こえてくるようになった。

 

非人間的な意見とは思いますが、心情的にはよく理解できる内容です。そしてまた、この“マンションの資産価値”という文言は、意見をまとめるときの“殺し文句”にもなったりします。

 

行政の支援団体に連絡をするも、緊急を要する症状ではないと対処してくれず、結局は放置せざるをえなくなってしまったそうです。

 

残念ながら記事では結論が出ないまま。おそらく親戚を見つけても、そのような状態では積極的に関わってくれないことが想像されます。

 

 

実は最近、同じようなケースを経験したことがあります。

 

理事のおひとりが高齢で、以前は定時に理事会へ出席して活発に意見を出されていたのですが、このところ休みがち。あるときは理事会の直前に外出するところに出会って、「きょうは理事会ですよ」と言うと「そうだったかしら」との返答。さすがにほかの理事たちも「少し注意して見てあげたほうがいいかもしれませんね」という状態になっていました。

 

行政の窓口に相談して月に2回ほどの訪問確認をしてもらうようにしたのですが、先日ご友人が訪れた際に部屋のなかで倒れているところを発見され、病院へ運ばれたという報告が理事会にありました。

 

幸い、ご本人は快復されたようですが、成年後見人を付けることになり、理事は下りていただくことにしました。

 

ご高齢でマンションの一人暮らしというケースはこれから(日本の人口が減るにもかかわらず)増えることが予想されます。

 

管理組合では個人宅の事情もあるので行動できる範囲に限界もありますが、行政などと連携をとれば最低限の対処はでき、それが大事に至らないセーフティネットにもなる可能性を高めてくれます。

 

放置するとリスクは高まるばかりですので、“管理”という名目でケアとコミュニティづくりを考えてもいいのではないかと思います。