マンション管理組合による「60年居住宣言」の決議
月刊「マンション管理センター通信」2013年3月号に
神戸市のマンション事例が紹介されていました。
■photo by Christina Saint Marche
記事は……
築32年を迎えた平成21年度定時総会のこと。
第3回目の唾棄簿修繕工事にあたり、工事委員会の
立ち上げを決議して、寄稿者の理事が委員長に就任。
その際の大規模修繕工事までの経緯が綴られています。
そして、
今回の修繕工事を進めるのに際して、建替えの検討も
考慮すべき等の意見が噴出し工事推進が立ち往生
することも十分予想されました
ことから、平成22年に開催した臨時総会に
「60年居住宣言」
の議案を提出して、承認決議されたというものです。
この内容は以下の通り。
筑後60年の折り返し時点まで居住して、各組合員がこの時点で、
終の住処とするのか、また、売却し新しい場所に居住を構えたり
老人ホームに入居したりするのか、賃貸にするのか等々の
選択肢から考えるというもので、今後の生活設計を見直す
キッカケづくりにするもの
ちなみに、この宣言を受けて、改めて建替え検討すべきかを聞くと
検討すべきという意見は皆無だったそうです。
60年後ということは、もう25年は住み続けることを前提に
管理組合運営をしていくということ。
それに伴って、13×2つまりもう2回の大規模修繕を念頭に
長期修繕計画を立てる必要があるということです。
先行き不透明であることが組合員の関心を薄れさせて
「なにをしたらいいのかわからない」というとまどいを
生む現況になっていることを考えると、ほかの管理組合も
60年居住宣言を検討する価値はあるかもしれません。
ただし、その裏打ちとなる修繕計画や、健全な管理組合
活動があってこそだということはいうまでもありません。
建物の資産価値の視点から考えても、「宣言あって
中身なし」ではかえって「建替え問題を回避する言い訳」
としてとらえられかねず、価値を損なうこともあるでしょう。
賃貸オーナーが増えれば、必ずしも「住み続けたい」という
意見が多数を占めるともいえませんので、その際の
対策もあわせて考えていかなければならないでしょう。