マンション管理組合による「60年居住宣言」の決議

 

月刊「マンション管理センター通信」2013年3月号に

神戸市のマンション事例が紹介されていました。

 

7365907822_b22215d32f_n photo by Christina Saint Marche

 

記事は……

 

築32年を迎えた平成21年度定時総会のこと。

第3回目の唾棄簿修繕工事にあたり、工事委員会の

立ち上げを決議して、寄稿者の理事が委員長に就任。

その際の大規模修繕工事までの経緯が綴られています。

 

そして、

今回の修繕工事を進めるのに際して、建替えの検討も

考慮すべき等の意見が噴出し工事推進が立ち往生

することも十分予想されました

ことから、平成22年に開催した臨時総会に

「60年居住宣言」

の議案を提出して、承認決議されたというものです。

 

この内容は以下の通り。

 

筑後60年の折り返し時点まで居住して、各組合員がこの時点で、

終の住処とするのか、また、売却し新しい場所に居住を構えたり

老人ホームに入居したりするのか、賃貸にするのか等々の

選択肢から考えるというもので、今後の生活設計を見直す

キッカケづくりにするもの

 

ちなみに、この宣言を受けて、改めて建替え検討すべきかを聞くと

検討すべきという意見は皆無だったそうです。

 

60年後ということは、もう25年は住み続けることを前提に

管理組合運営をしていくということ。

それに伴って、13×2つまりもう2回の大規模修繕を念頭に

長期修繕計画を立てる必要があるということです。

 

先行き不透明であることが組合員の関心を薄れさせて

「なにをしたらいいのかわからない」というとまどいを

生む現況になっていることを考えると、ほかの管理組合も

60年居住宣言を検討する価値はあるかもしれません。

 

ただし、その裏打ちとなる修繕計画や、健全な管理組合

活動があってこそだということはいうまでもありません。

 

建物の資産価値の視点から考えても、「宣言あって

中身なし」ではかえって「建替え問題を回避する言い訳」

としてとらえられかねず、価値を損なうこともあるでしょう。

 

賃貸オーナーが増えれば、必ずしも「住み続けたい」という

意見が多数を占めるともいえませんので、その際の

対策もあわせて考えていかなければならないでしょう。