電子投票という“神器”を使えば限界管理組合の“岩戸”は開くかもしれない

管理組合総会への参加が少ないなど、管理組合運営が滞る恐れがあるほどの無関心が蔓延する状況が多く聞かれます。

photo by StephenMcleod – International Man of Mystery

こうした運営不能になりかねない“限界管理組合”を打開するための方策として有力ではないかと思われるニュースが目に止まりました。

ニュースへのリンクはこちらから…

電子投票:大規模マンションの総会で実施へ 国内初 – 毎日新聞

マンション管理の分野ではIT格差もあることからなかなかデジタル化が進まない現状があるようです。

しかし、無関心層はまさにIT世代であるため、このツールは有効ではないかと期待されます。

私が理事長をしている管理組合の理事会のひとつでは、かなり頻繁にメールのやりとりで、理事間のコンセンサスを調整できるようにしていますが、それでもなお、メールが届かなかったり、メアドの変更が浸透していなかったり、添付ファイルが開けなかったりと、個々人のスキルの差によって生ずるIT化の問題にたびたび直面しているという状況です。

このツールのメリットは、全面的に導入することで使用法などを統一でき、IT格差を減らす方策が同時に取れるのではないかと思われる点です。マニュアルの整備=使用細則の徹底によって、より使いやすいシステムを模索することも可能になるのではないでしょうか。

導入にあたっては、標準管理規約にある「電磁的方法が利用可能な場合」の部分を参考にして、規約改定を総会にはかる必要があるでしょう。

具体的には、第50条がそれにあたるため、規約改定のために特別決議、さらに決議において「組合員全員の承諾」という高いハードルがあるのですが、この点をどのように記事の例ではクリアしているのか注目したいところです。

できれば取材をしてみたいので、結果が出たらまたブログにアップしたいと思います。

電子投票システム「e投票」のスマホ画面

 相模原市の大規模マンション(705戸)の管理組合総会で、スマートフォン(スマホ)や携帯電話、パソコンによる電子投票が3月に行われる。システムを開発したグラント(大阪市北区)によると、大規模分譲マンションでの正式導入は国内で初めてで、「社会インフラとなる電子投票のモデルケースを作りたい」と意欲的だ。導入が進まない国内の公職選挙にも影響を与えるか注目される。

 電子投票システム「e投票(いいとうひょう)」は、マンション管理組合総会前の出欠連絡や議決権行使、委任が簡単に行え、総会会場でも挙手せずに意思表示できる。総会を主催する組合理事側も、準備作業の軽減や資料などの郵送コスト削減のほか、集計の即時性、正確性が確保できる。

 同社のe投票はこれまで、学術学会や労働組合、協同組合などで使用実績があるが、大規模マンション管理組合での本格導入は初めて。初期導入費用は2万円、年間利用料は5万円から。

 今回、マンションを管理する三菱地所コミュニティ(東京都中央区)がグラントと契約し、三菱の管理物件である相模原市のマンションの管理組合総会でe投票を導入する。e投票を使って1月に行った事前アンケートでは、回収率が前回比で約1.5倍に増え、ほぼ全員が「電子投票は便利」との回答を寄せた。マニュアルの配布や事前説明会も行わなかったが、利用に関する問い合わせもほとんどなかったという。

 電子投票システムについてグラントの山崎元彰社長は「経済性、利便性に優れ、天候にも左右されない」と訴えている。さらに山崎社長は、今回のマンション業界初の本格導入を機に、「一般市民に電子投票の理解を深めていきたい」とも話す。

 国内の公職選挙への電子投票導入は進んでいない。総務省によると、これまで岡山県新見市や、神奈川県海老名市など延べ約20の地方自治体で行われている。技術的な検証もされたが、投票機器のトラブルや、自治体にとって財政負担が重いことなどから本格導入には至っていない。

こうした現状に対して山崎社長は「電子投票は投票率向上のために必要。導入の反対理由として技術的問題に言及されることがあるが、キャッシュカードや電話が普及している中で、電磁的に個人認証すること事が危険だという理論などはすでに破綻している。技術的問題は既に解決済み」とする。同社はまず、住民投票や有権者を対象とした意識調査といった分野で、各方面に採用される準備を進めている。【高橋望】

引用:毎日新聞 2014年03月01日