素人目でマンションの劣化現象をチェックするポイント #マンション管理

せめて役員の引き継ぎのときくらいは、マンションをぐるりと回って“自主点検”の真似事でもいいからやっておきたいものです。

私は役員就任のときに、理事会前の時間を使ったり、別の機会に管理会社の担当者とだったりと、必ず現場を見て回り、キーパーソン(理事長や管理会社の担当者)と問題を共有するようにしています。

そういう際に、建物の状態をどのようにチェックしておけばいいのかが、「マンション管理センター通信」2013年1月号に掲載されていたので、まとめておきます。

その記事は…

技術レポート「劣化減少とその対策1〜自主点検を有効に実施するために〜」社)日本建築家協会関東甲信越支部メンテナンス部会長・宮城秋治氏によるものです。

前半はコンクリートに関する解説で、1年あたり0.5mmずつ表面から中性化が進んでいくということです。しかしコンクリートの中性化は目視では確認できないので、本稿ではパスします。

後半は、「赤いシグナル」「白いシグナル」という見出しで、チェックポイントをわかりやすく解説しています。

「赤いシグナル」とは、コンクリートの割れ目から赤茶色い汁が出ている状態のこと。これは鉄筋や鉄骨が錆びている状態を示すもので、周囲のコンクリートはどんどん押し出されてヒビが大きくなっていくはずです。

対策としては、該当部分のコンクリートを削り取り、サビの出ている鉄筋を露出させて問題のサビを十分に落とします。周辺の酸化が進んでいることを踏まえ、コンクリート中性化を抑止する材料を塗布してから、ポリマーセメントモルタルを何重にも塗り重ねて充填します。

「白いシグナル」とは、エフロレッセンスと呼ばれる現象のこと。コンクリートやタイルを貼り付ける接着剤に使われるモルタルに含まれる石灰分が水で溶け出していることを指します。

エフロレッセンス自体も問題ですが、それよりも重要なのはエフロレッセンスが水によって引き起こされている現象であることです。つまり、エフロレッセンスの部位には水漏れなどの経路が存在しているということなので、これが躯体を劣化させることを回避しなければなりません。

対策としては、ヒビなどの部位へのモルタル充填や、広範囲への撥水剤やコーティング剤の塗布などが考えられます。また、こうした箇所では水に触れやすいなどコーティングの効果が薄れやすいことも考えておかなければなりません。つまり、要監視箇所になるということです。

いずれにしても、「赤いシグナル」「白いシグナル」が出ている箇所を把握し、早めに管理会社と協力して対処しておくべきであり、そのためにも管理組合が主体となって年に1回ぐらいはマンションを見回る機会を作ることが、とくに築年数の旧いマンションでは必須だと言えます。