規約を無視したグレーな改修を行なう事例がまたニュースになっています #マンション管理
明らかな法令違反(建築基準法または都道府県の建築条例等)であれば、行政が動いて取り締まってくれます。
とはいえ、専有部分のことなので、なかなかそれが表面化しないというのも事実。
マンション1棟を細かく仕切った、窓もない部屋に改修してしまった“脱法ハウス”についての取り締まりは、行政が表立って動いているのでニュース報道などにも乗りやすいようです。
一方で、一部の専有部分でコッソリと改修されている場合は、なかなか発見も難しいのではないでしょうか。
そんな“脱法ハウス”について取り上げているのが毎日新聞。
記事はこちらから…
脱法ハウス:都内マンション 規約を無視し無断改築- 毎日jp(毎日新聞)
東京都文京区音羽の分譲マンションの一室(2DK、37平方メートル)が、管理組合に無断で6人用の「シェアハウス」に改築されていたことが分かった。改築に気付いた組合側が管理規約に基づき不承認としたが、工事は進み、入居募集も始まっていた。都内では、同様の無断改築物件は毎日新聞が確認しただけで他に3件あり、組合が規約をたてに抵抗しても脱法ハウス化を防げない現状が浮かんだ。 …
毎日新聞の調査では、管理組合に無断で規約に違反する回収を行なっている例が都内で3つあったとのこと。
どうやらシェアハウスの業者が暗躍しているようですね。
専用部分の使用に関しては所有者の勝手が通るという理屈かもしれませんが、区分所有法ではそれを許していません。
ましてや、仲介を含めて不動産取引を業として行なっているのであれば、「勝手でしょ? 法律? 知りません」では通りませんね。
戸内の改修については、管理規約で管理組合に届け出るようにしているところも多いと思います。形式上であれ、理事長の承認を得て改修を行なうことが求められます。
しかし、こうした業者は、一般的な賃貸として改修を届けて、実は小分けにして“脱法ハウス”として貸し出そうと目論むようです。
記事の業者は、管理組合への届け出もせずに工事を始めたようですね。これでは管理組合もお手上げです。
管理員さんが、工事業者の出入りに気づいたり、隣近所の住人が一般的な内装工事とは違う雰囲気(持ち込む材料などが多いなど不自然でしょうからね)を察知して管理会社に問い合わせたりと、発見されればまだマシなほうでしょう。
氷山の一角、なのかもしれません。
建築基準法違反や建築安全条例違反が発覚した時点でようやく“脱法ハウス”は“違法ハウス”になり、管理組合からも違法状態からの現状復帰の請求や勧告などを行なえるようになるのが一般的な対処かもしれません。
そういう認識で、指を加えて見ている管理組合が多いかもしれませんが、規約に記載があれば無届け改修は立派な規約違反であり、「共同の利益に反する行為」という味方もありますので、脱法の時点で芽を摘むこともできるはずです。
建築基準法令違反が疑われる専有スペースについては、「ベッドブースであり居室ではない。江戸川のように12人は詰め込みすぎだが、6人なら適正だと思う」と主張する。
こんな言い逃れをして既成事実を作ってしまおうというのが相手の作戦。管理組合が毅然とした対応を取らないと、ほかの区分所有者(管理組合員)に迷惑がかかることになりかねませんので、気をつけたいものです。