「夢の技術」核融合の実現を引き寄せる日本の部材メーカーの腕と課題【ニュース拾い読み】


SDGs(持続可能な開発目標)の主要テーマである脱炭素を実現する上で、「夢の技術」とされる核融合発電。太陽が燃焼するのと同じ仕組みの発電方法で、実現すればわずかな燃料から大きなエネルギーを得られる。だが、核融合を起こす炉の温度はセ氏1億度を超える。超高温の冷却や排気など、人類がいまだ超えたことがない技術のハードルに日本の中小企業が挑んでいる。

記事で紹介されているのは、フランスで建設が進む国際プロジェクトの核融合実験炉「ITER」の例。この炉に使用される冷却管を埼玉県三芳町にある大和合金グループという会社の工場で作っているそうです。

ITERでは、2035年に本物の燃料を使った本格稼働をめざしています。

なぜこの工場の部品が使われるかというと、内部が1億5000万度の超高温になるという炉のなかで不純物を排出する重要なパーツで、冷却に欠かせないために高温に耐えうる品質が必要だから。その技術がこの工場にあるということです。

そもそも核融合発電というのは「水素の一種を超高温に熱し、それらの原子核同士を高速でぶつける」ことによって発電する手法で、原子力発電とは異なります。

実用化されれば、1グラムの燃料で石油8トンに匹敵する燃焼エネルギーが得られるというから、かなり期待できる手法ではないでしょうか。また、発電時の二酸化炭素(CO2)発生がなく、出力も安定的であると、利点も多いようです。

デメリットは、先述のような高温になるための設備や機器の耐久性、それにともなう規模の大きさなどが挙げられるでしょうか。

こうした部材を生産できる企業は世界でも珍しく、その意味では有望なエネルギー源とともに世界に誇れる技術であるという論調の記事ですが、問題は核融合発電に舵を切れるかという“政治の問題”だったりするので、予断が許されない話題ではないかと思った次第です。