屋上緑化とハンズフリー・キー導入の効果と問題点 #マンション管理

マンくみポータルサイトにこんな記事がありました。

記事 2013.4.1:マンくみPRESS(春)2013創刊号

1つは「屋上緑化の活用法」というもの。

これは東邦レオ株式会社の施工事例の紹介のようです。

一般的な屋上緑化は、緑の植物を屋上=陸屋根に敷き詰めるように植えて、断熱と二酸化炭素削減の効果を狙うというもの。

それに加えてこの事例では、住民のコミュニケーションに活用できるスペースとすることを提案しています。

近くにバーベキューやパーティーをやれる広場はなかなかないから、自分の建物の屋上を活用しましょうよ、という感じですね。

問題点は以下の通り。

まず、一般的な屋上緑化とも共通しますが、屋上に土を盛って植物を植えるわけですから、建物に対する負担が増えます。屋根が凹む、あるいは落ちるなどといった事故が起こらないようにしなければなりません。さらに、植物は水を必要としますから、水遣りによって漏水の起こらないような対策も必要です。

そして、コミュニケーションの場として活用する場合、出入りの管理が発生するでしょう。一般的な陸屋根(平らな屋上)の建物は、住人でも許可がない限り出入りできないようになっているようです。これは、落下の危険を回避するものであるとともに、防犯の意味もあります。空き巣が屋上からベランダへ降りて侵入することもあるからです。

安全と防犯の対策を立てていても、時間的な制約を設ける必要が出てくるでしょう。夜中までバーベキューをやって騒ぐのでは、いくら住民のコミュニケーションのためと言っても、迷惑だと思う住民も出てくるはず。また、近隣への騒音についても配慮しなければなりません。

屋上を人が歩き回ることで、最上階の住居への騒音も発生します。煙やゴミがベランダへ舞い込んだりといういろいろなハプニングへの対処も想定しておく必要があるでしょう。

住民のコミュニケーションが活発になることは、管理組合運営への無関心が減ることにつながるので、このアイデアは悪くはありません。

しかし、共有部分を使用することにはいろいろと制約もあるため、区分所有法をしっかりと遵守したかたちでイベント等を行なわないと、トラブルが発生したときに適切な対応が取れない恐れもあります。

できれば、マンション管理士など専門家に相談をして、使用細則を決めるなどのリスク管理をしっかりと行なってから実施したほうがいいでしょう。

もう1つは、ハンズフリーのキーを導入したら便利ですよ、というもの。

オートロックの物件も多くなってきたようです。築古の物件でも、各戸のインターホンと連動しないかたちのシステムでの導入など、防犯上でも有効とされるオートロックの導入は、理事会での議案にもよくあがるようになってきているようです。

住民への安心度が高まるのはもちろん、賃料への反映など、資産価値をあげるアイテムとして、注目を集めているのが鍵まわりの改善でしょう。

オートロックの玄関ドアは共有部分であるため、インターホンと連動するしないを問わず、管理組合が担当しなければいけない修繕の事例となります。

問題は、安心度の高さと価格が比例すること。従って、予算と照らし合わせて、どのレベルのキー・システムを導入するかは、理事会でも頭を悩ませるところでしょう。

私の担当する物件では、オートロックの玄関キーが破損するという事故が起きたことがあります。

これによって、玄関を開け放したままにしなければならなくなっただけでなく、鍵の交換によって、全戸に対して新たなキーを配布しなければなりませんでした。

この物件はインターホンとの連動ではなく、玄関のみの独立したシステムだったため、作業はこの新たなキーの配布で済みました。

しかし、インターホン連動で自宅玄関のキーも同じというシステム(逆シリンダー)の場合は、全戸の玄関のシリンダー交換という大掛かりな工事が必要になってしまいます。これは、誰かが鍵を無くした、落としたという場合でも発生しますので、リスクとして知っておきたいポイントです。

便利だ、かっこいい、ということはインセンティブとして重要ですが、その背後に、交換費用が嵩んでしかも工事期間が長くなり、オートロックを使えなくなってしまうという(前期の玄関のみの交換でも、業者への発注から工事に取り掛かるまでに1カ月ほどかかってしまいました)不便が発生することを理解しておく必要があります。

不便な状態が続くとクレームが管理組合に集中します。その対応に追われることを少しでも軽減するためには、これもまた鍵の管理に関する細則などを定めて、トラブル発生時の規範を事前に作っておいたほうがいいということになります。

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