マンション管理士の法定講習を受講してきました
マンション管理士の法定講習を受講してきました。
国家資格であるマンション管理士は、登録すると法定講習の受講が課せられます。
これは、一定期間が経過した後に、知識を更新して、名前だけの資格にさせないという配慮だと思っています。
例えば運転免許証も同様に更新手続きがあって、更新時には講習の受講が義務付けられています。
しかし経験者なら知っているとおり、警察署などの部屋の一画で30分ほどのVTRを見れば終わりという内容(私はゴールド免許なので、それ以外の長い講習は知りませんのであしからず)。
これに対してマンション管理士の講習は、9時から17時までのまるまる1日、大学の講座よりもビッシリという充実したものです。
当日取ったノートをシェアしたいと思います。
マンションの管理に関する法令及び実務に関する科目
時代の新たな要請
外国人・高齢者の対策
不在区分所有者の問題(外国人を含む)
高額滞納区分所有者への対応
どうやって管理を行なうか?
マンションの管理で法律問題はごく一部
→多角的な管理の必要性
従来は管理会社任せ、シロウトの管理組合の自助でいいと考えられてきた
→シロウト判断では管理が難しい時代に!
さまざまな制約をのもとに適切な管理を実施することが求められている
一律では処理できない
個々のマンションの実情→目標をカスタマイズする
実現には資源(費用やマンパワ―)が必要
→どこにどうやって投入するかの選択が必要
行なうだけでなく検証も必要(区分所有者の満足度の確認)
★管理サービスの品質向上に役立てる
◎人間関係の調整の重要性が増している
無関係/クレーマー
最近はモンスター・クレーマーが顕在化
管理組合の運営に支障
「常識」の乖離(個人差が広がる)→トラブルの原因に!
マンション紛争では関係法令を明確に適用できないことも多い
他人事的な考えでいる区分所有者も多い→解決の意思決定が困難になりがち
長期化や複雑化すると遺恨になってしまう
日本の紛争解決法→忘れるか諦めるかが多い!
合意とは→譲歩 再燃すると恨みをはらすという感情になりやすい
→マンション管理士の紛争にもなりかねない(法的な責任を問われることも)
その反面 マンション管理士の需要も増加
問題解決のため関係法令の概要を知り使い方を経験しておくべき
紛争の解決には「論より証拠」
「規約違反の見逃し」は常態化と判断されてしまうので注意!
最近の裁判例・判例について
マンション管理適正化法に開する科目
住生活基本計画(全国計画)
10年計画で平成18年より
現在は平成28年から37年までの2期目
うちマンション関係部分について
長期修繕計画作成の促進
コミュニティ活動の活発化
マンション管理適正化に関する指針
新たなコミュニティの形成
→防犯・防災
自治会・町内会との関係への留意→分けて考えることが原則
この峻別がされていれば活動の連携は差し支えない
外部専門家の役員就任→監視・監督の強化
発注等の適正化→利益相反に注意 ルールの整備
個人情報保護法の改正
すべての事業者が対象に(非営利組織、マンション管理組合も含まれる)
利用目的の通知・公表と適切な管理
委託先の監督
法に従って適切に対処しなければならない
マンションの建物及び附属施設の構造及び設備に関する科目
熊本地震の発生
地域的な規模・被害は同等
緊急時の対応と復旧への取組
施工者を見つけるのが困難な状況→計画と合意が重要になる
建築基準法等の改正
法定点検改正(資格者の業務範囲・名称の変更など)
容積率制限の合理化(エレベーター設置基準の緩和)
耐震改修促進法の改正(努力義務の創設)
省エネ法→建築物省エネ法
省エネルギー基準の見直し
昇降機の適切な維持管理に関する指針
機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン
標準管理規約の改正
区分所有者が行なう工事の制限の強化(届出・理事会承認)専有&共用とも
「設計コンサルタントを活用したマンション大規模修繕工事の発注等の相談窓口の周知について(通知)
利益相反になるコンサルタントに関する注意換起
建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン
★長期修繕計画と修繕積立金
長期修繕計画ガイドライン
工事レベル&範囲をどこまでにするかで規模や費用が異なる
築年が増すに従って改良工事が広まる→費用も増加
修繕積立金ガイドライン
平均値は200円/平米・月
★点検、調査・診断
★大規模修繕工事
工事の発意から実施までには数年を要する
役員任期は1~2年→専門委員会等の必要性
資金計画 cf.マンション共用部分リフォーム融資
施工会社の選定 金額のみの比較にならないように
評価項目による比較
竣工後の竣工図書作成
設計図書の保管/修繕等の履歴情報の整理・保管
★機能性・居住性の向上
耐震改修工事
耐震診断
耐震改修工法
大規模修繕工事とは別途費用が
さらに専有部への影響がある場合も
助成金の活用と助成基準の注意(年度違いなど)
既存不適格でも特例あり
省エネ改修工事
断熱(外断熱)→躯体の劣化防止の効果も
太陽光発電システム
サッシの断熱改修
鋼鉄玄関扉の断熱改修
設備の改修
給排水管の更生・更新工事
床スラブ下配管の位置によって専有部分の管理か共用部分かが異なる
床スラブ上への改修を管理組合が行なう案も
給水方式の変更工事
高置水槽→直圧直結給水方式/増圧直結給水方式
エレベーター設備の増設工事(バリアフリー改修)
専有部分の道連れ工事→費用負担を明確に(合意形成)
その後の維持保全が容易になるメリットもあり
管理組合の運営の円滑化に関する科目
★紛争事例等
樹木伐採→共用部分の変更事案→総会の特別決議
特別決議の撤回→特別決議で!
総会の委任状等の閲覧請求→応じる必要なし
少数区分所有者から総会の招集請求があった場合の議長→出席者から(当事者を除いて)選出
監事に議案提案権は→「ない」と考える
排水管の流れ不良
継手は共用部分→責任は管理組合
流れ不良の原因が前区分所有者の過失を問えるか?→他の専有部分の状態は?洗浄など管理の状態は?→不法行為が認められれば前区分所有者と現区分所有者に責任を問うことができる(しかし考慮を要する)
★管理組合の運営の円滑化のための方策
住宅宿泊事業法の概要
対象は3業(住宅宿泊事業、住宅宿泊管理業、住宅宿泊仲介業)
→マンション標準管理規約の改正(H29. 8. 29)
第12条(専有部分の用途)の変更を行なう必要あり
理事会決議でも届出に影響
事業だけでなく広告等を禁止する規定も可能
特区民泊について
特区民泊と住宅宿泊事業法の両方の規定を定める方向へ改正された(許容/禁止/使用細則に委ねる)
マンション標準管理規約の改正(H28.3.14)
管理組合の担い手不足、資金不足による管理不全、暴力団排除の必要性など
1.外部専門家の活用
直接運営に携わることも想定→3パターンを提示
規約の変更など
ガバナンスの強化ほか各役職・職務の明示等
明文規定のない理事の理事会代理出席は適当でない(議決権の表示などへ)
2.専有部分の修繕等
承認などの手続き緩和
3.災害等の場合の管理組合の意思決定
総会を開催できないケースでの理事会権限の拡大
理事会を開催できないケースでの理事長権限の拡大
4.緊急時の理事等の立入り
緩和へ
5.コミュニティ条項等の再整理
地域コミュニティ活動に要する費用の支出を可能に
6.管理費等の滞納に対する措置
フローチャートあり(コメント)
7.マンションの管理状況などの情報開示
8.その他の改正事項
駐車場、暴力団等排除、議決権割合
マンション標準管理委託契約書の改正(H28.7.29)
開示業務についての改正
売却予定者の組合員も開示対象に
質疑応答
個人情報保護法に役員が違反した場合→事業者たる管理組合が責任をもって対処すべき
個人情報の取扱いについて→ルール化の必要あり
指針はないが総会議案として考えるべき内容
民泊禁止後の違反者→規約違反の措置(理事会決議)/行為の差し止め(普通決議)
まとめ
マンション管理の分野で、民泊など大きな影響があるとされる変化があったため、法改正などマンション管理士が係わる分野でもかなりの対応が必要になっています。
この機会にこうした知識の更新が出来たことは、とてもラッキーだったと思います。