不動産売買における囲い込み問題について

 

だいぶ前になってしましましたが、テレ東の「WBS」で「不動産の秘密」という特集を放映していました。

 

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この特集は、不動産取引で問題になっている「囲い込み」を扱ったものでした。

 

「囲い込み」とは、売買の委託契約を受けた不動産業者が、ほかの不動産業者に紹介しないというもの。

 

なぜそんな「売らない」という損になると思われる行動に出るのかと言えば、「売り」を委託された業者が自分で買手を見つけてきて、手数料を両者からもらいたいからです。これを「両手」と言います。

 

番組では、レインズ情報をもとに(売手と仲介業者が一般媒介契約以外の媒介契約を結んでいる場合はレインズ登録義務があります)、ほかの業者が物件についての問い合わせをしたところ、「商談中」であることを理由に断られていました。

 

番組では同様な取材を仲介大手のトップ3に行なったところ、いずれも同じような対応だったとか。つまり、業界にこの「囲い込み」が蔓延していると見てもいいということです。

 

「囲い込み」の問題点

要するに売れれば売主にはそれほど不利益にはならないのでは? と思うかもしれません。

ところが、考えてみれば買手のあてがあれば問題ありませんが、買手を探すという仲介業者の業務を考えれば、機会が限定されるため、報酬に見合った働きをしたとは言えないのではないかという問題があります。

 

さらに、手を抜いているのに手数料を倍もらえるというシステムにも問題があるでしょう。

 

そして、なによりもこの「囲い込み」は依頼者である売手がアクセスできないところで密かにできてしまうのです。

 

国交省はこの問題を把握し、聞き取り調査を行なったようです。しかし、実態を把握するまでには至っていないというのも事実のようです。

WBSでは国交省の聞き取り調査とは別に独自の調査を行なったわけですが、末端ではなく大手でもその疑いが濃厚であることがわかったというわけです。

 

自民党では、今後は「囲い込み」が発覚した場合に資格停止処分などを検討したいとしています。

 

まとめ

不動産売買の活性化と健全化のために是正されるべき行為ですが、レインズが一般公開されていない現状では、買手側の仲介業者に協力してもらわないとまず証明は不可能でしょうね。

買手の仲介業者も売手代理をすれば立場が逆になるので、積極的に協力してもらえる環境ではないでしょうし。

監視する第3者機関の設立が求められますが、市民オンブズマンのようなかたちでもっと簡便に調査ができれば、国交省の窓口への告発と資料提出というかたちで粛正できなくもなさそうです。

それよりも、両手という手数料システムの許容から考え直したほうが、自浄作用が働くような気もします。