予期せぬ老朽アパートの相続エピソードに学ぶ「大家の心得」

記事の筆者は、父が35年前に建てて、その死後は母が大家になっていたアパートの件で、「不動産屋から敷金を返却するように」という連絡を受けたことから始まるエピソードを披露してくれています。

実際の大家である母は健在で、物件こそ25年ほど見ることはないけれど、いままでなんら問題が降りかかることはなかったという、超優良物件だったようです。

このアパートの家賃は母の老人ホームの入居費用に充てられていたとのこと。

しかし、トラブル処理を本人に任せるわけにもいかず、呼び出しを受けたということから話は始まっています。

この管理を委託していた不動産屋もまた高齢(90歳)で、昔ながらの商売を続けてきたことから、トラブルはさらにこんがらがっていきます。

そこで、この不動産屋への管理業務委託を打ち切り、自主管理することに。

問題は敷金の返却要求でしたが、これに対して更新料未払いがあることがわかり、それを相殺すべく行動に移る、というのがテーマになっています。

賃貸契約書は発見することができたものの、更新についての記録はなし。

このケースでは、賃借人とのコミュニケーションが成立し、相手の敷金全額返却請求に対して、賃貸人の未払い更新料&1ヵ月家賃について以下のように調停がなされました。

数日後S氏に電話して契約更新料を20万円に減額して未払い家賃10万円と敷金30万円を相殺することで合意。そして原状回復費用9万円だけを清算することを確認。

(「駅から徒歩20分」築35年、老朽アパート“自主管理”事始め)


確かに大家の管理に瑕疵があって、更新料を請求していなかったことを譲歩する必要はあるようです。

それにしても、これをそのまま管理してなかった不動産屋に任せていたら、30万円の敷金返却と原状回復費用20万円の計50万円マイナスになってしまっていたところ。

やっぱり黙って任せっきりというのは損なのだなぁと思わせる事例ですね。

金額的に弁護士と相談するのはビミョーなところ。

それだけに自力で勉強して、足も使って解決したことは、かなりメリットがあったと思いますね。

ただ、注意したいのは「理屈が通用しない(したくない)相手」との交渉。

泣き寝入りするか、きっちりと(費用がかかっても)相手に思い知ってもらうかは、金額と覚悟(あきらめ)次第でしょうか。