マンション管理にも広がってきたサービスの多様化には意外な落とし穴が潜んでいた?

 

5181526783_53c5e664d9_m Concierge by ilovememphis

 

 

「管理」という言葉が付いているからなのか、「マンション管理」には堅苦しいイメージがあるかもしれません。

 

一方で、ハイエンドをターゲットとしたマンション管理では、「管理」を超えた「サービス」を売りにしているところも少なくないようです。

 

その代表的なものが、コンシェルジュ・サービス。

 

コンシェルジュは、日本ではホテルの宿泊客を対象とした「世話係」として広まったこともあり、「サービスの達人」的なイメージがあると思います。

 

もちもとのフランス語はアパルトマン(集合住宅)の管理人、すなわち管理員さんをさしていました。

 

そうなると、マンションの世話係としてのコンシェルジュは、本来の呼び名に戻ったことになりますね。

 

しかし、日本ではホテルのコンシェルジュと同様に、サービスを提供する位置づけです。

 

もちろん無料のサービスではなく、管理費に載せられているわけですが。

 

ステイタスとしての付加価値か、マンション管理全体のイメージを変える管理会社あるいは管理組合の業務に統合されていくのかと思っていたら、意外なところに落とし穴があったようです。

 

それは業法違反。

 

 

ニュースによれば、コンシェルジュ・サービスを提供していたマンションで、業務を担当していたマンション管理会社がクリーニング業法に定められた届け出をせずに一部のサービスを行なっていたというもの。

 

クリーニング業法とは、クリーニングを業務として行なう行為に対して、「公衆衛生等の見地」から規制し、利用者のメリットを高めるというものです。

 

洗濯は家事のひとつで誰でもできる作業というイメージがあります。しかし、これを業務として行なう場合には、他人のものを預かり、注文通りの状態にして戻すという義務が生じます。そうした品質的・衛生的な満足が得られない状態にならないように、法律が定められているというわけですね。

 

記事では「消費者保護がなおざりにされがちな実態」と強い口調でなじっていますが、業としてサービスを提供する際の責任感の薄さを指摘されても仕方ない事例だと思います。

 

結局は、トラブルが起きたときにこうした企業側のうかつさが表面化するわけですが、それ以前にサービスとして取り入れるならば用意周到であり、しかもブラッシュアップするという「姿勢」がないところにこそ問題があると思います。

 

 

この件を受けて、一般社団法人マンション管理業協会では同協会会員に対して「必要な措置」を取るように通知文を出しているようです。

 

事件化せずに、業界の自浄により悪しきを改めるという方向で解決させようということでしょうか。

 

規制が厳しくなると、「できません」という官僚的な対応をせざるを得なくなり可能性が高まります。そうなると、手厚いサービスをうたったコンシェルジュ・サービスの価値が下がり、管理費の内容を見直すことにもつながりかねません。

 

とはいえ、コンプライアンスから考えると、この管理会社は法令を遵守できていなかったわけですので、こうした「洗い直し」を定期的に行ないながら、マンション管理の質を高めていく業界全体の努力が望まれます。