管理組合役員に外部専門家の活用をできるよう標準管理規約の改正へ

 

標準管理規約は、国土交通省が定めた区分所有建物(マンションなど)の「管理規約」のひな形(ガイドライン)。法的な拘束力はありませんが、法廷闘争になった際には効力を発揮するため、この標準管理規約に則った管理規約の導入がデファクト・スタンダードになっています。

 

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この標準管理規約の第35条2項には、マンション管理組合の役員になることのできる条件について書かれています。

 

2 理事及び監事は、○○マンションに現に居住する組合員のうちから、総会で選任する。

 

前述のとおり、標準管理規約には法的な拘束力がありませんので、マンションの事情に対応したカスタマイズが可能ですが、原則としてはこの条件を「標準」として、規約を総会決議による変更などの正式な手順を踏んでいないかぎり、異なる方法で選任された役員を法的に排除することも可能になります。これはもちろん、第三者が管理組合を勝手にできないようにするためです。

 

これに対して、国土交通省の「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」の第10回(平成27年2月26日開催)で、管理組合役員の条件に外部の専門家を活用できるよう「標準管理規約」を改正するようにしたというニュースが届いています。改正は2015年夏までに行なわれるとのこと。

 

参照:マンションの新たな管理ルールに関する検討会について

 

“限界管理組合”を救うための救世主になることを期待

 

これまで管理組合は所有権者の集団による分権での決議を基本としてきました。総会出席に関しても、所有権を有しない人の代理をかなり厳しく制限してきたのですが、この流れと異なる、しかも管理組合の役員に関する部分での改正ということで、注目されます。

 

マンション管理士や弁護士はアドバイザーとしての位置づけだったものが、当事者として管理組合運営に関わることができるとする部分が、今回の改正のポイントでしょう。

 

これはつまり、アドバイスすらできないような状態の管理組合が増えていることの裏返しにほかなりません。

 

管理が事実上放置されているようなマンションを減らし、防災などの施策を浸透させるためにも、こうした方向性はやむをえないものと思われます。

 

これにより、専門家が入った合理的な管理組合運営が基準になることは評価できると思います。これまでのように、一部の熱心という名の無知な役員によって振り回され、ますます無関心(関わりたくない)という風潮を呼ぶような傾向が改まることを期待したいです。

 

一方で、専門家側の倫理規定をさらに徹底していただきたいとも思います。巨額の横領事件の報道が少なくないマンション管理組合関係の業務では、こうした環境整備も急務で、まだまだ足りていないと感じますので。