マンション管理組合も課税対象になることがあることについてのまとめ #マンション管理

管理組合は“非営利”の団体だから、当然税金とは無関係だよねーー。

そういう声をよく聞きます。

しかし、管理組合の収入内容によっては課税されるケースがある、ということについてまとめておきます。

引用は、「マンション管理センター通信」2012年11月号(「マンション管理組合の税金」小川聡)からです。

●マンション管理組合の法人上の扱い

法人税法上の区分は「人格なき社団」。管理組合法人は「みなし公益法人等」。

法人税法が定める「収益事業」を行っている場合は、「収益事業から生じた所得についてのみ法人税が課税」される。

法人住民税、事業税も同様に課税される。

収入の過多にかかわらず、収益事業を行っている以上は、税務申告の義務がある。

●収益事業の範囲

法人税法施行令第5条に34業種が収益事業として定められている。

管理組合で行われていると考えられるのは以下の6つの事業。

1. 不動産貸付業

敷地内に広告や通信基地局などを設置して利用料収入を得ている場合など。
また、共用スペースをカフェテリアや託児所などの事業者に賃貸して収入を得ている場合など。

2. 駐車場業

区分所有者以外に駐車場スペースを賃貸して収入を得ている場合など。区分所有者からの駐車場料金徴収は収益事業に当たらない。

3. 物品販売業

自動販売機、コインランドリーなどの使用料収入などを得ている場合など。

4. 遊技所業

フィットネスジム等の利用料収入など。

5. 旅館業

ゲストルーム(宿泊可能な場合)等の利用料収入など。ただし、区分所有者以外から得る場合に限る。

6. 席貸業

会議室等の利用料など。

●「区分所有者以外の者」の定義

「区分所有者以外の者」とは文字通り区分所有権を有していない者を指す。賃借人はもちろん、区分所有者と同居している家族も含まれる。

●課税の内容

法人税(国税)、住民税及び事業税(地方税)が課税される。

さらに、基準期間の課税売上高が1000万円を超える場合には、消費税及び地方消費税の納付義務が生じる。

税金は、収益事業に係わる収入から収益事業に係わる必要経費を差し引いて求められた課税所得に税率を乗じて計算する。概ね課税所得に対して35%を乗じたものが目安。

●申告をしない場合のペナルティ

決算日以後2カ月を経過すると、「無申告加算税」が課せられ、さらに納付するまで「延滞税」が加算される。延滞税は申告書の提出期間内が4.3%、それ以降は14.6%。

無申告加算税は期限後でも自主的に申告すれば、納付すべき税額の5%になる。税務調査で指摘を受けた場合は納付すべき税額の15%、税額の50万円を超えた部分については20%の税率が適用される。

法定時効は5年なので、5年分をさかのぼって申告し直して税額を収める必要がある。

●対応について

税務申告の必要があると判断されれば、理事会、臨時総会を開催して承認を得た後、申告・納税という手順を踏む。

申告・納税は義務であり、 決議に左右されるものではない。つまり、総会で否決され「払う必要はない」という管理組合の決議をしても対抗できないということ。

2012年2月に国税庁の文書回答が公表されて以降、すでに各地で数件の管理組合に対して税務調査が行われ、5年分の課税がなされているとのこと。

以上