【監督処分】株式会社西日本ビル代行(福岡市)に業務停止

マンション管理業者の処分情報です。

国土交通省九州地方整備局は、株式会社西日本ビル代行(福岡市中央区)に対して、マンションの管理の適正化の推進に関する法律に基づき業務停止命令および指示処分を行なうと、10月2日に発表しました。

マンション管理業者に対する監督処分について|国土交通省九州地方整備局

期間は10月16日からの30日間。

この期間、西日本ビル代行はマンション管理業に関する新規の契約を結ぶことができません。また、再発防止措置を講じることが求められています。

西日本ビル代行の処分理由は、管理費保証制度への加入をしていなかったこと。

これは、マンション管理業者が管理組合の収納口座の通帳と印鑑を保管する場合に入らなければならないもの。業者が勝手に資金を流用したり、業者の倒産による損失を防ぐために必要な措置です。それを怠ったことによる処罰となります。

ことの発覚は、九州地方整備局に対して管理業者からの必要な書面の提出があるかという問い合わせがあったことから。

これに対して、西日本ビル代行側は、その旨(管理費保証制度への加入が必要なこと)は管理組合に説明をしたが、管理費の値上げにつながるために却下され、そのまま続けざるを得なかった、と釈明しているようです。

こうした経緯をみると、管理組合理事会や総会でこの議案は上程されていたものの(あるいは話題止まりだったかもしれませんが)、管理費アップという壁に阻まれて、そのままスルーされてしまったようですね。

それを気にかけていた(あるいは思い出した)組合員が問い合わせて表沙汰になったと思われます。

管理組合のなかでの話し合いでは、法律に則った組合運営よりも予算のほうが優先される傾向があるようです。

出費が削減される話題に対しては興味がもたれ、費用がかかるものはさせられます。ましてや管理費のアップとなれば、先送りにされるか抹殺ということが多いこともありうる話。

九州地方整備局への問い合わせは確信犯的であるような気もしますが(表沙汰にすることで是正せざるを得なくなるように仕向けるということですね)、目先の利益ではなく管理費という公金の安全を確保するという意識をおざなりにしていることは改めるべきと言えるでしょう。

安くなることに賛成、費用がかかることには反対といった意見は、往々にして声が大きくなりがちです。

しかし、俯瞰してみれば、管理組合の資産が損なわれないようにすることこそ、管理組合の利益になるということを、組合員のコンセンサスにしなければならないはず。

こうした問題は感情論になりがちなので、ちゃんと法的な背景を説明して、最終的にリスク管理をしたほうが損しないのですよという説明ができるような準備をしておいたほうがいいでしょう。

そのためにもマンション管理士のような立場が、知恵をサポートしなければならないと思います。