戸田市が始めたマンション管理ネット登録制度は内容が中途半端感いっぱいだけど……

 

70933447_c278a0644e_m IgnightHer: 6 of 13 by Jef Harris

 

埼玉県戸田市では、2015年(平成27年)4月から「戸田市マンション管理ネット登録制度」を開設したというニュースが目に止まりました。

 

マンション管理ネット登録制度|戸田市情報ポータル

 

内容は、戸田市が分譲マンションの管理に関する情報などを電子メールなどを通じて提供するというもの。情報を受け取るには事前の登録が必要です。

 

具体的な登録手続きは以下のとおり。

 

1)登録者名
2)マンション名
3)所在地
4)電話番号
5)電子メールアドレス

これらを「まちづくり推進室」へ電子メールで送るか、申請書を提出します。

 

登録されると、戸田市が「マンション管理ネット登録証」を発行します。

 

これが届くと、随時、マンション管理の関する情報がメールなどで届きます。

 

以上のような行政サービスとのことです。

 

戸田市からの現時点での提供される情報の内容は以下のとおりです。

  • マンションセミナーの案内
  • マンション管理組合等からの情報発信
  • マンション管理問題に関する解決事例紹介
  • 国、県等のマンション施策の動向など

 

これに対して、マンション管理組合側からの活動状況なども随時戸田市宛てに提供されるようになり、これが共有されるということのようです。

 

登録に際しては、マンション管理組合役員(=マンションの区分所有者)や居住者(=賃借人を含む)だけでなく「これからマンション購入を考えている方も、お気軽にご登録いただければと思います」(マンション管理ネット登録制度|戸田市情報ポータル)とのことです。

 

疑問が残る戸田市のマンション管理ネット登録制度

 

これって、「画期的だ!」「行政が積極的にマンション管理に取り組んでいる!」と思う人って、いるのでしょうか?

 

本来の目的から逸れているというか、ピントがずれているというか……。

 

市内の管理組合を組織化して、行政主導のマンション管理改革を積極的に進めようという意図が感じられません。

 

マンション管理に関するHACKなら、すでに関係団体や、個人でもいろいろと発信されていますし。

 

行政が登録という手続きを踏ませて、さらに登録証まで(経費をかけて)発行する意図が曖昧で、気持ち悪いですね。。。

 

個人情報の管理のリスクを考えると、なぜ戸田市はこの問題に手を出したのかを疑問に感じてしまうほうが多くて、素直に評価できません。

 

モデルケース化に期待したい戸田市のマンション状況

 

埼玉県南部に位置する戸田市(人口約12万9千人)は、人口の4割近くが市境の荒川を隔てた東京へ通勤するベッドタウン都市です。

 

戸数の多いマンションの建設も盛んで、こうしたベッドタウン需要を背景に発達してきたのが戸田市の一面であることは確かでしょう。戸田市には物流センターなどもあり、こうした職場に近接した住居としての需要も加わっています。

 

余談ですが、6〜7年前のITバブル期にマンション投資セミナーに参加し、近郊の1棟もののマンションの見学会などに行ったことがありました。

 

戸田市もその見学会のひとつにあり、規模の大きいマンションが多く建っているのを目の当たりにした覚えがあります。

 

需要と供給のバランスが整っていれば問題ありませんが、供給過多と老朽化など、マンションには解決しなければならない外的要因も多く存在します。

 

こうした問題の一環として、戸田市がマンション管理と関わり合いを持とうとしていることは想像できますし、理解もできなくはありません。

 

が、とりあえず「カタチから」のような安易さが透けて見えるようで、心配してしまいます。

 

全国的に見ると、行政と各地マンション管理士団体が協力してマンション管理に関する相談窓口を開設、また有志による勉強会の開催などが行なわれているようです。しかし、私も参加してみるかぎりでは、組織化という意味でもイマイチの感が否めません。内容的には修繕に関する技術的なノウハウなど、かなり有益であったりすることもあるので、この点はすばらしいのですが。

 

戸田市は登録証など組織化の先鞭をつけるものであることは確かなので、さらに充実した内容を打ち出して、全国のモデルケースとなるべくブラッシュアップし続けていただきたいと思います。