中古住宅の賃貸環境の改善へ国交省が動き始めています

 

 [no title] by Corie Howell

 

賃貸住宅の供給が少子高齢化で構造変化を余儀なくされている感があります。

 

今後、コンパクトな都市行政が進めば、さらに都心への人口集中が進み、賃貸住宅の供給もさらに必要とされることが予想されます。

 

こうした状況に対処するため、国交省でも動き始めているようです。

 

 

 自民党は5月26日、住宅土地・都市政策調査会、中古住宅市場活性化小委員会の合同会議を開き、中古住宅市場活性化に向けた提言をまとめた。

 提言は、「囲い込み」の解消に向けたレインズルールの抜本的改善、インスペクション等の活用促進による情報の非対称性解消に向けた新たな取引ルールの構築、中古マンションの管理情報の開示など8つ(関連記事)。このうち、囲い込みの解消については、他の事業者への紹介ができない状態にあるか否かをシステム上に客観的に明示させると共に、売主が自らの物件の登録状況を確認できるようにするステータス管理機能をレインズシステムに導入する。

 この措置でも、囲い込みの発生件数が多い場合は、違反者への処分・罰則の強化を検討し、宅建業法の改正を行う。

 インスペクション(第三者の建物検査)については、中古住宅売買時の買主の不安が解消されるよう、13年6月に国土交通省でまとめた「既存住宅インスペクション・ガイドライン」の利用を促進する。

 中期的には、売主がインスペクションと瑕疵保険を活用する契約類型や、買主が売主から提供された客観的事実などの内容について、売買契約後一定期間内にインスペクションを行い、確認できるものとする契約類型などを準備。前者については、宅建業法の重要事項説明項目として追加し、後者については、中古住宅専用の標準契約書を国が定め、宅建業法に位置づける。

 小委員会の委員長である鶴保庸介元国交副大臣は、「囲い込みもインスペクションも、まずは現在できる措置で対応していく。その上で、評価レビューをし、更なる法的措置などを検討する」と述べた。

 

この記事で注目しているのは、物件の囲い込みという仲介会社のグレーな行為を今後は取り締まっていくという点。

 

囲い込みは吊り広告と同じように、ビジネスだけでなく消費者の不利益につながる悪徳行為。

 

ただ、既得権のようなかたちで業者に許容されていたこともあり、いままで監督官庁の国交省は見ないふりをしてきました。それがここに来ての方針転換。

 

これまでも、不動産売買あたりから徐々に規制を強めて、業態の健全化を図ろうとする姿勢は見せていた国交省ですが、こんな面倒くさい問題に手を出しちゃってどうしたんだろう、というのが正直な感想。

 

そもそもは、中古住宅市場の活性化に関する自民党の提言に端を発しているようですね。

自民党の提言はこちら。

 

(1)「囲い込み」の解消に向けたレインズルールの抜本的改善

(早急に取り組むべき事項)レインズシステムにおけるステータス管理機能の導入

(中期的に実現すべき事項)レインズへの登録期間の短縮と情報の充実

(2)インスペクション等の活用促進による情報の非対称性解消に向けた新たな取引ルールの構築

(早急)標準売買契約書の作成、既存住宅インスペクション・ガイドラインの利用促進

(中期)インスペクション・瑕疵保険の活用促進

(3)長期優良住宅の普及、一般住宅のリフォーム履歴などの保存・活用

(早急)中古住宅の長期優良化の認定制度の創設

(中期)インスペクションなどで得た住宅情報の保存・活用の仕組みの検討

(4)担保評価を含む「20年で一律価値ゼロ」とみなす市場慣行の抜本的改善

(早急)建物評価ルールの抜本改善

(中期)金融市場への定着、ノンリコースローンの検討

(5)中古マンションの管理情報の開示

(早急)管理情報の開示促進に向けたマンション標準管理規約などの見直し

(中期)重要事項説明の項目や内容の見直し

(6)不動産総合データベースの構築

(早急)不動産取引に必要な情報を集約した不動産総合データベースの整備

(中期)行政情報集約のための制度的手当て

(7)新たなビジネスモデルとその環境整備

(早急)リバースモーゲージ、買取再販ビジネス。ワンストップのサービス提供などの普及

(中期)買取再販事業に係る物件の品質の担保のあり方の検討

(8)増大する空き家の市場での流通・活用の促進

(早急)個人住宅の有効活用に関する相談体制の整備

(中期)モデル的取引の支援、宅建業者と空き家バンクとの連携

 

これによると、情報の非対称解消なんて項目が上位にあります。

 

レインズに関しても、すでに以前から、なんで登録業者のみのアクセスが許されているのか疑問、というオブジェクションが出てましたね。そういえば、業界外から仲介に参入するという会社が出たというニュースを最近読んだ覚えが。

 

 

おお、「仲介 参入」で検索したら、ザクザク出てきました。これは、だいぶ圧力がかかってそうですね。

 

ハードルを下げることで流動化と手数料の低下などが(消費者側から)期待できそうですが、おそらく参入を狙っている大企業は別のビジネスを考えているようです。

 

管理組合側としては、マンション管理にあまり協力的ではない仲介会社のモラルを向上してくれる提言の実行を期待したいですね。