マッチングアプリで待機児童問題を解消しようとした多摩市の事例を考える[ニュース拾い読み]

インターネットメディアのPIVOTをチェックしていたら、元スタンフォード大学教授で東大教授の小島武仁氏が出演した「マッチングアプリ驚異の進化」で、マッチングアプリの応用例として多摩市(東京)が待機児童問題を解消するためのアプリを導入したことに触れていた。

このアプリ開発は、小島教授の東京大学マーケットデザインセンター(UTMD)とサイバーエージェントの共同開発プロジェクトで、マッチング理論の実証実験として行われた。

実証実験に関する論文の要旨はこちら。

アプリを使った実証実験の概要はこちら。

待機児童問題については、この朝日新聞によるまとめがとてもわかりやすく網羅的。

附言

現在(2023年5月) 、多摩市のホームページには、待機児童解消マッチングアプリの記載が見当たらないので、プロジェクトは中断ないし、次の段階に向けて準備中のようだ。

マッチングアプリについては、下世話なイメージが流布しているように感じが、一方で個人的にボートマッチ(Vote match)を直近の国政選挙で使ってみたところ、データベースに蓄積された情報から自分の指向による振り分けで絞り込んでいった結果を取り出すという作業に長けたシステムを、とても簡便にしたものであると実感していた。

待機児童問題は利用側の制約条件を把握することと、受け容れ側の制約条件を見極めることという二重の障壁があるため、機械的に条件の一致不一致を判断するメリットが大きく、これぞマッチングアプリの出番だったことがわかる。

サイバーエージェントは、「現実のより複雑な制の下で、SOFM (student-optimal-fair-matching、児童側最適公平マッチング)を含む各種のマッチングアルゴリズムをシミュレーション分析し、より良いアルゴリズムの開発・実装を行っています」としている。

調整を重ねることでより実戦的な問題解決のためのアプリが登場することを期待するとともに、これまで大雑把な未来予側でインフラ整備や人員配置などが実施されてきた教育分野の効率化を促す事例になることを願っている。