池田町の7か条と自治会とマンション管理規約[ニュース拾い読み]
池田暮らしの七か条
「池田暮らしの七か条」が話題になっています。
これは、福井県池田町が公表した、移住者に対する「住むための心構え」をまとめたもの。
いわゆる「町民になるためのガイドライン」と言って良いでしょう。
しかし、その内容がアナクロというか、村社会に馴染むためのノウハウをストレートに表現しているために、「偉そう」「高圧的」という批判が出ているそうです。
個人的には、確かに高圧的に感じる表現かなとは思うものの、そもそも知らないコミュニティに参加しようとするときに「俺に言わせりゃ」という態度を取るほうが非常識かな、と。
移住者にそういう気が無いにしても、過疎化に悩む地域ではナーバスになっていて、お客さん扱いしないので普段どおりに付き合いたいとおもうあまりのトラブルが多くなっているという話もよく耳にします。
つまり、池田町はコミュニケーションのプロトコルを明示しただけ、という解釈ができるのではないでしょうか。
それに対して移住者は、池田町町民として守るべきところは守り、変えるべきところは話し合えばいい、と。
MXテレビ「堀潤のモーニングフラッグ」でZ世代コメンテーターの由井恒輝さんが「“暗黙の了解”とされる状態よりいい」と発言されていましたが、確かに。
表面化することで、町の歴史という継続性のうえに新たな文化・風習を作ることのできる気運が生まれることが期待できそうです。
自治会
この話題は地方に限ったものではなく、どこでも多少の違いはあれ、発生していることではないかと思いました。
例えば自治会と呼ばれる狭いエリアを統括する組織では、ごみ集積場の管理、道路や側溝などの掃除や除草、祭など催し物の運営などなど、住んでいるだけで出席が義務付けられているような作業や行事はけっこうあるものです。
自治会には、地方自治法に定められている地域と、それ以外にもグレーゾーンの団地などがあります。
認可地縁団体であれば強制力はあるものの、実際には住民票を置いて住んでいても自治会への参加は自由であり、祭に協力しないからといって逮捕されるわけではありません。
もともとは地域の人たちが協力し合って防災・防火、社会福祉活動、文化の継承などを担い、政治の最小単位として機能してきた功績も大きいことは確かでしょう。
しかし、生活様式や文化に対する認識が時代とともに変化すれば、それに応じて自治会も変わらなければ意味が薄れてしまうのは当然です。
問題になっているのは、形骸化した部分を無条件に継続させているからだとも言えます。
マンション管理組合
さて、このニュースを考えているうちに、権利なき社団という言葉を思い出し、自治会とマンション管理組合の関係をいろいろと考えていたことを思い出しました。
団地には現在も自治会とマンション管理組合が併設されているところが多いのではないでしょうか。
それぞれの役割を分けているところもあり、地域活動と住民のコミュニケーションのために自治会が機能しているという話も耳にしたことがあります。
一方でマンション管理組合は、主に所有者の権利を守るため法律で規定されて成立している組織です。
このあたりが自治会のニュアンスと微妙に異なるため、もともとマンション自治会しか存在しなかったところに、自治会から移行させるのではなく新たに管理組合を設置したという経緯があると思っています。
マンション管理組合には標準管理規約という国交省が作ったひな形をもとにした規約をもつことができ、これによって法的な対処が可能なルールとすることができます。
マンション管理組合の運営に携わっている身としては、池田町のケースは規約作りの前段階であり、これから過疎に悩む地域が移住者を(現住者と移住者双方に)ストレスなく受け入れるためのルール作りをするためのモデルケースになり得るのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
期待して見守っていきたいと思います。