新型コロナウイルス感染症対策で管理組合の総会などはどうすればいいのか?

未曾有の疫病被害といっても言い過ぎではない状況に巻き込まれているニッポン。いや、世界中で同時多発的に蔓延していることからも、この疫病が過去に例のないものであることがわかるのではないでしょうか。

さて、外出自粛要請にソーシャル・ディスタンスと、とにかく人と人とが対面することを避けるしか、いまのところは防ぎようがないというのですが、これによって社会生活も経済活動も大打撃を受けています。

管理組合活動も然り。

管理組合の集まりをどうするのか?

では、この状況下で、管理組合活動はどうするのが正解なのでしょうか?

すでに2月から、総会開催を躊躇する声が聞かれ始めて、3月には理事会も延期する動きが本格化していたと思います。

管理組合の集会は、管理組合によってその環境が大きく異なるため、一概に集会だからといって規制できないのが悩みどころではないでしょうか。

基準となるのは、三密と呼ばれる「密閉」「密集」「密接」を避けるということ。

首相官邸のWEBサイトに掲載されている「感染症対策へのご協力をお願いします(チラシ)」を見ると、他の人との距離を2メートルとり、多人数での会食を避け、会話は慎む、会話するときはマスクを着用、などとあります。

なお、「5分間の会話は1回の咳と同じ」とあるので、5分以上の対面での会話は、マスク着用であっても避けるべきでしょう。

となると、対面が基本の管理組合理事会および総会は、その開催がかなり厳しく規制されそうです。

総会はセーフか?

管理組合総会は、原則として委任状による出席が認められるので、実際に出席がなくても会派成立し、議事も決議することが可能です。

もちろん、議長は出席の必要があり、管理会社の担当者(管理業務主任者を含む)が同席しなければなりませんので、ひとりで総会を開いたことにするのは現実的ではありません。

理事会はアウト?

理事会は、マンション標準管理規約のひな形によれば、委任が許されないために、理事のリアルな出席がなければ、会が成立しないことになってしまいます。

この制約は、理事のなり手不足の管理組合でもたびたび問題になることですが、まさかコロナ禍でも問題になるとは思いませんでした。

管理組合総会の非常事態時の扱いについて

実は、私が関係する管理組合の総会も、2月開催を延期したまま、再開の見込みが立っていません。

議案に契約事項があるので、前年どおりでやり過ごすというのが難しかったり、なによりも管理会社との業務契約更新が可決しないままずるずると延びてしまうのは、法的に無効になってしまうのではないかと心配になってしまいます。

書面で決議をすることはできるのか?

会社で稟議をしている人は、こうした対面できない状態でも、「書面を回覧すれば決議したことになるのではないか」と考えるかもしれません。

しかし、区分所有法には管理組合の集会での書面決議について厳密に定められているため、資料を回覧して同意を得たというかたちだけでは決議には至らないのです。

メールを使った決議についても同様です。

これら書面やメールなどでの決議は、事前に周到な準備をする必要があり、それがない状態でなんとなくやれるようなものではありません。

ちなみに書面/電磁的決議については「全区分所有者の同意」があって初めて導入できるシステムなので、ハードルは建替決議よりも高いと言えるでしょう。

コロナにどう対応するのか?

では、打つ手はないのでしょうか。。。

まず、議案についての丁寧な資料を、理事長と管理会社担当の間で作成し、それを理事がチェック。

そして組合員に配布して意見を調整し、実際に総会を開催する場合には、短時間で決議できるように進行を簡略化できるように準備する──ぐらいしかできません。

それでもこの疫病を十分に避けることができるかは定かではありません。

管理組合総会が不要不急であるかないかはそれぞれの状況によるとは思いますが、必要であれば十分に準備し、準備不足では強行突破しないということもまた、この非常時には管理組合運営に求められるはずです。