PTA問題を組織論から考えてみたい

新学期ということで、学校に関するさまざまな問題を問い直すニュース・ソースが注目されている。

なかでもPTA問題は、かなり前からくすぶり続けながら、なかなか解決の糸口がつかめていない難問のひとつだと言える。

PTA問題が解決(=ソリューション)へ向かわないのは、任期が単年度、我が子が人質、名誉職化といった理由が考えられている。こらは、マンション管理組合や自治会の問題にも通じるものがあるので、当ブログでは引き続き注目していきたい。

さて、MXTV「モーニングフラッグ」の激論サミットのコーナーで、PTA問題を取り上げていたのか、この問題を掘り下げようと思ったきっかけだった。

番組では、ブラックPTA状態も問題視されるようになり、これからのPTAはどうあるべきかりについて、出演者が討論した。

大きく取り上げられていたのはPTAのボランティア制の可否で、すでにPTA業務の一部が外部委託されている実態も紹介されていた。

紹介されていたのは近畿日本ツーリストが提供しているアウトソーシング(委託)サービスで、負担が大きいという声が多い広報誌制作について、30ページ300部の印刷を22万7000円、チラシのデザインを4万5000円から請け負っている。また、運動会の受付に対してスタッフ1名を派遣するのに1日当たり1万1000円から(諸経費別)というメニューのほか、WEBサイトの開設、名入りグッズ制作、イベントの企画・運営といったものまで対応しているそうだ。

近畿日本ツーリストのホームページに掲載されているPTAアウトソーシングサービスのメニューを眺めていると、30年ぐらい前まで企業の総務の業務をサポートするサービスに似ていることに気づいた。

社員旅行や会社の運動会、忘年会や新年会」など、福利厚生のいわげる雑務と呼ばれていたことを引き受けてくれる取引先があって、ゴルフコンペの賞品からビンゴ大会の道具や景品まで至れり尽せりのメニューがそろっていて驚いたことを憶えている。

番組では、こうした外部サービスに頼る以外に、なにができるのかについても考えていた。

なかでも東京・大田区のPTOというアプローチは興味深い。

PTOとは Parent Teacher Organizationの略で、できる人ができるときにできることをやるというコンセンサスで運営されるボランティアの組織だ。

PTAで曖昧だった役割の定義を明確にして、自分ができることの見える化をしながら組織に参加するというものだ。

そもそもPTAは単年度の単位で担当者が入れ替わるため、業務の継続性が極めて弱い。そのためにルーティン的な作業の定型化が促進して、盲従的な組織運営が定着してしまったきらいかあると言える。

その弊害を打破するには、やはり上意下達的な組織から脱却し、個々に応じた柔軟な対応のできる関係づくりが必要になる。

対策として、全国PTA協議会(上位組織)との関係性の見直し、独立した組織としての年間計画の作定、第三者が参加できる可能性の追求といったことが挙げられていた。

家族構成の変化や共働きの常態化、地域コミュニティの在り方の変容といったパラダイムシストが進み、組織を含めて社会との関わり方についてバージョンアップが求められる場面はますます増えている。

一律で決定打がないのは当然かもしれないが、多様性と同様に、事業ごとの丁寧な対応を可能にするシステムづくりから始めるのが、とりあえず「急がば回れ」なのかもしれないと考えている。